マンガ

ファンタジー、おじさんをつつむ

1996年初出 しりあがり寿エンターブレインビームコミックス いわゆるモーレツ社員(死語)であり、24時間働けますか?(リゲイン)と問われて、本当に働いてきた団塊の世代や社畜たちの、逃げ場のない苦悩を描いた連作短編集。 高度成長期ならいざし...

“徘徊老人”ドン・キホーテ

2000年初出 しりあがり寿朝日新聞社 相変わらず秀逸なタイトルでお見事と言う他ない。 徘徊老人って・・・。 しかもドン・キホーテ。 家族だけの問題に留まらず、地域、社会の問題として取り組む必要のあるボケ老人の徘徊を、ドン・キホーテの奇行に...

ジャカランダ

2002年初出 しりあがり寿青林工藝舎 やってることは方舟(1999~)とほぼ同じというか、抗いようのない超自然なカタストロフを今回もテーマにしてるわけですが、作者の位置づけ的には方舟と対になる物語、のようです。 どこかでそんなことを語って...

方舟

1999年初出 しりあがり寿太田出版 描かれているのは静かに忍び寄る終末。 そこに、核爆発も宇宙大戦争もなければ、巨大な隕石の飛来もない。 ただ、しとしとと「雨」が降る。 ただしその雨は決してやむことがない。 「まさかね、いつかはやむでしょ...

弥次喜多 in DEEP

1997年初出 しりあがり寿エンターブレインビームコミックス 全8巻 真夜中の弥次さん喜多さん(1994~)の続編。 前作で物語は、一応の落とし所を見つけはしたものの、旅の終着点である「お伊勢さん」にはまだ到着してなかったんで、続きが描かれ...

ア◯ス

1998年初出 しりあがり寿ソフトマジックレヴォルトコミック さてこのタイトル、どう読めばよいの?ってところからまずは悩むわけで。 多くの人は「きっとアリスだろう」と言ってるみたいですが、作者自身は「アマルスと呼んでます」などとすっとぼけた...

瀕死のエッセイスト

1993年初出 しりあがり寿ソフトマジックレヴォルトコミック 「死」をテーマに、明日をもしれぬ病人を狂言回しとして、幻覚的でシュールな物語を綴った連作。 死を考えることで生き様を問う、みたいな感じのことがやりたかったのかな?と思うんですけど...

真夜中の弥次さん喜多さん

1994年初出 しりあがり寿マガジンハウスmag comics 全2巻 何事か、ってレベルでしりあがり寿が「化けた」のがこの作品でしょうね。 十返舎一九の「東海道中膝栗毛」が元ネタですが、古典すぎて手にとったことすらないんで色々調べてみたら...

流星課長

1984年初出 しりあがり寿竹書房バンブーコミックス 初期のしりあがり寿の作品で面白い!と思ったものって私はあまりなくて、アングラなヘタウマパロディ漫画家でしょ?みたいな認識しかなかったんですが、ヒゲのOL薮内笹子(1986~)と並んで初め...

楳図かずお こわい本

1960年~初出 楳図かずお朝日ソノラマ文庫 全14巻 <収録短編>1巻 鏡、復讐鬼人2巻 蝶の墓3巻 おそれ、偶然を呼ぶ手紙4巻 闇のアルバム、本、ダリの男5巻 口が耳までさける時、ヘビおばさん、蛇娘と白髪魔6巻 うろこの顔7巻 残酷の一...

ナツノクモ

2003年初出 篠房六郎小学館ikkiコミックス 全8巻 架空のオンラインゲームの世界(ボード)を舞台に、精神動物園と呼ばれるカウンセリングを目的としたコミュニティを描くSFドラマ。 私はオンラインゲームをやったことがないんで、この物語がど...

鬼の又鬼のアモ

2017年初出 多田乃伸明講談社ヤンマガKC 全3巻 エスニシティゼロワン(2011~)以降、音沙汰ないな・・と思ってた多田乃伸明がいつのまにか月刊ヤンマガで復活してて軽く驚きました。 おおっ、成り上がってる!みたいな。 SFにこだわってき...

70億の針

2008年初出 多田乃伸明メディアファクトリーMFコミックス 全4巻 ハル・クレメントの代表作、20億の針(1950)を下敷きとした侵略SF。 しかしまあ大胆だなあ、とは思いますね。 どうせ指摘されるんだから、といった開き直りがあったのかど...

クロマティ・ハラショー

1987年初出 小池一夫/篠田アキヒロスタジオシップ劇画キングシリーズ 全4巻 河原のゴルフ地蔵に手を合わせた者に、無償でゴルフ指導をしてくれる謎の博士とロボットを描いたうんちく漫画。 ほとんど学習漫画、と言ってもいいかもしれませんね。 ほ...

菌と鉄

2021年初出 片山あやか講談社マガジンKC 1巻(以降続刊) 食物連鎖の頂点に菌類が存在する世界で、全体主義な管理社会下に生きる主人公ダンテの「はみ出した行動」を描くディストピアSF。 作者はオーウェルの1984に強い影響を受けたみたいで...

キンゾーの上がってなンボ!!

1984年初出 小池一夫/叶精作スタジオシップ劇画キングシリーズ 全8巻 ベストアマの腕前を持つアマチュアゴルファー、前野金蔵がプロを目指すためにすべてを捨ててゴルフに打ち込む姿を描くスポーツ漫画。 雑な言い方をするなら「スポ根」かと思うん...

レイジング・ヘル

2019年初出 荒木光講談社シリウスKC 1~2巻(以降続刊) ある日突然、超常能力に目覚めた二人の少年を描くサイキックSF。 能力そのものはサイコキネシスであったり、ヒーリングであったりと、さほど意外性のないものだったりするんですが、設定...

ヒゲのOL薮内笹子

1986年初出 しりあがり寿竹書房バンブーコミックス 真実の愛を見つけるまでヒゲを剃らない、と誓ったOL薮内笹子の伴侶探しを描いたギャグ漫画。 私が初めて作者の漫画を読んだのはこの単行本だったんですけど、ぶっちゃけ天才か!と思いましたね。 ...

ヒストリエ

2003年初出 岩明均講談社アフタヌーンKC 1~5巻(以降続刊) 紀元前4世紀の古代ギリシャ、マケドニア王国のアレキサンダー大王に仕えた秘書官エウメネスの波乱の生涯を描いた歴史大作。 普通に驚いた、というのはありますね。 まさか寄生獣(1...

七夕の国

1996年初出 岩明均小学館ビッグコミックスピリッツ 全4巻 物質を穿つ(空間ごと削り取る)能力を持つ大学生が巻き込まれる、奇妙な出来事を描いた伝奇?SF。 はっきり言って、90年代においてさえ決して目新しいとは言えない題材だ、と思うんです...

寄生獣

1990年初出 岩明均講談社アフタヌーンKC 全10巻 長い間誤解していたんですが、改めて読みなおしてみると、寄生獣って「宇宙から飛来した」とはどこにも書かれていない、という事実に、今更なんですけどかなり愕然としました。 むしろ地球で生まれ...

テロール教授の怪しい授業

2018年初出 カルロ・ゼン/石田点講談社モーニングKC 1巻(以降続刊) テロとカルトに関するゼミを受け持つ外国人教授?の講義内容を描いた、学園もの風うんちく漫画。 やってることは基本、ドラゴン桜(2003~)とか美味しんぼ(1985~)...

サラカエル

2009年初出 六道神士アスキー・メディアワークスDCコミック 全3巻 科学技術の代わりに魔法が人々の生活を支える世界を舞台に、話す言葉がすべて現実化する「無言の園」の民、リーバの「力を封印するための旅」を描いたSFバトルファンタジー。 な...

報いは報い、罰は罰

2016年初出 森泉岳土エンターブレインビームコミックス 上、下 陸の孤島と呼ばれる、巨大な洋館の主に嫁いだ女の失踪に端を発する、一連の事件を描いたホラー/ミステリ。 独特の作画技法は相変わらず冴え渡ってますが、結論から先に言っちゃうなら失...