マンガ

NEETING LIFE ニーティング・ライフ

2021年初出 筒井哲也集英社ヤングジャンプコミックス 上、下退職金と貯金を糧に、死に至るまでの引きこもり生活を選択した中年男性の、思わぬ事態の成り行きを描いた一作。着眼点は面白かった、と思いますね。「ニートだけど環境さえ整えば本当はできる...

合葬

1982年初出 杉浦日向子ちくま文庫大政奉還後の幕末、将軍徳川慶喜の身辺警護と江戸の秩序守護を目的とした組織「彰義隊」に属する若い侍たちの生き様を描いた時代劇。いわゆる上野戦争までの前日譚、と言う形で物語は進んでいくんですが、彰義隊自体に詳...

有害都市

2014年初出 筒井哲也集英社ヤングジャンプコミックス 上、下2019年以降のありえたかもしれない日本を舞台に、マンガ表現の規制を巡る動きを当事者目線で描いた社会派ドラマ。オリンピック誘致がきっかけとなったコンビニからのエロ本撤去を端緒とし...

ノイズ

2018年初出 筒井哲也集英社グランドジャンプコミックス 全3巻突如田舎町に現れた元殺人犯の処遇を巡る、地域ぐるみの事件を描いたサイコサスペンス。映画化された人気作品ですが、うーん、どうなんだろ、私の一方的な先入観が強すぎたのか、あれ?こん...

予告犯

2011年初出 筒井哲也集英社ヤングジャンプコミックス 全3巻マンホール(2004~)以降、音沙汰の途絶えていた作者が突然ジャンプ改で連載開始、あれよあれよと人気を博し、映画化までされて、「だから言っただろう!筒井哲也はすごいって!」と当時...

天界の城

1980~85年初出 佐藤史生早川書房<収録短編>阿呆船馬祠祭天界の城羅陵王やどり木昔、新書館から「阿呆船」のタイトルで単行本が発売になってたと思うんですが、収録作品に違いがあるのかどうかまではわからず。ワンゼロや夢見る惑星のすごさが年月を...

マンホール

2004年初出 筒井哲也スクエアエニックスヤングガンガンコミックス 全3巻初めて読んだ時、本当にびっくりしました。いやこれ、メジャー級の実力者で完成度じゃねえかよ、って。なんでここまでデキる人がヤングガンガンなんかで連載してるの?業界トップ...

百物語

1988年初版 杉浦日向子新潮文庫現代のお話ではなく、主に江戸時代?の怪異譚を集めた小話集であることから、どっちかというと耳袋風というか日本昔話風ではあるんですが、そこに杉浦日向子の筆致が加わるんでどこにもない99話になってることは間違いな...

ゑひもせず

1983年初版 杉浦日向子ちくま文庫<収録短編>袖もぎ様ぼうずのざんげもず通言室乃梅ヤ・ク・ソ・ク日々悠々花景色狐巷談崖駆け抜ける吉良供養デビュー作「通言室乃梅」を含む短編集。80年代当時はやまだ紫、近藤ようこと並んでガロ三人娘と呼ばれてい...

番外甲子園

1979初版 やまさき十三/内山まもる小学館少年サンデーコミックス 全18巻やさぐれた不良高校生9人が、ある日突然発奮して甲子園を目指し始める野球漫画。はっきり言って、プロットそのものはありがちというか、90年代ぐらいまでのスポーツ漫画鉄板...

対岸のメル

2022年初出 福島聡エンターブレインハルタコミックス 1巻(以降続巻)この世あらざるもの(心霊だけに限らず、動物や虫の声とか)を知覚できる不思議な少女メルと、論理派の男子小学生清晴が、幽霊たちの満たされぬ思いを遂げて成仏させていく物語。大...

ルサンチマン

2004年初出 花沢健吾小学館ビッグコミックススピリッツ 全4巻久しぶりに読み返してみたらアイアムアヒーローやアンダーニンジャとは全然作風が違ってて驚いた、というのはありますね。ずっと変わってない、と勝手に思いこんでいたんですが、作者なりに...

アンダーニンジャ

2018年初出 花沢健吾講談社ヤンマガKC 1~8巻(以降続巻)私にとっては前科持ちの漫画家なんで(アイアムアヒーローの件で)全く期待してなかった、というより、読むべきなのかなあ、と悩んだってのはあるんですけど、いざ手に取ってみたらそれほど...

アイアムアヒーロー

2009年初出 花沢健吾小学館ビッグコミックスピリッツ 全22巻いわゆる「ゾンビもの」の新たな可能性を模索した、といっていいと思います。ジョージ・A・ロメロのゾンビ三部作(映画)を嚆矢とし、90年代以降、長い間途切れていたゾンビを題材とする...

WOMBS ウームズ

2009年初出 白井弓子小学館IKKIコミックス 全5巻漂流の末、地球外の天体である碧王星にたどり着き、居住可能なまでにテラフォーミングを施した1次移民と、一方的に正当な移民であることを主張し、碧王星を統治しようとする2次移民の間で勃発した...

羽人

2021年初出 宮尾行巳講談社イブニングKC 1~2巻(以降続巻)中国王朝時代風の架空な世界を舞台に、羽人と呼ばれる不老不死な人外の怪物を描いた歴史?ファンタジー。秦の始皇帝をモデルにしたらしき人物(作者はあとがき漫画で秦か漢の時代ぐらいと...

タコピーの原罪

2022年初出 タイザン5集英社ジャンプコミックス+ 上、下一般家庭に異物を放り込んでドタバタやらかす藤子不二雄黄金のパターンを逆手にとり、異物自身に、藤子児童漫画からは欠落していた「醜い現実」を突きつけた異色作。同人漫画とかSNSですでに...

五佰年BOX

2017年初出 宮尾行巳講談社イブニングKC 全4巻古い蔵で偶然見つけた木箱が500年前を覗き込むことのできるタイムスコープだった、というアイディアを核にした時間SF。この物語のミソは①木箱の中に手を触れて500年前の世界に干渉できる②木箱...

西遊妖猿伝(大唐編、西域編)

<大唐編>1983年初出 諸星大二郎潮出版社 全16巻かの有名な西遊記を作者流にアレンジ、換骨奪胎した冒険活劇。西遊記を元ネタにした漫画作品は大量にありますけど、リブート作としての独創性は間違いなく本作が史上最高峰でしょうね。たいていの西遊...

夜叉神峠

1977年初出 小池一夫/正岡としや小学館文庫 全6巻刀ひとつ満足に振ることもできない非力な下男が、師を得て大きく変貌を遂げていく様子を描いた時代劇。いわゆる立身出世ものと捉えるのがわかりやすいかと思いますが、物語の序盤で、主人公がとある人...

アビスアジュールの罪人

2020年初出 冨明仁エンターブレインハルタコミックス 1~2巻(以降続巻)いわゆるアンデルセンの人魚姫をそのまま換骨奪胎した、と言っていい気がします。もちろん細部に相違はありますが、人間と人魚の報われぬ恋をテーマにしてる時点で引き合いに出...

虎鶫

2019年初出 ippatu講談社ヤンマガKC 1巻(以降続巻)フランスのマンガ誌Ki-oonで人気を博し、日本へ逆輸入された未来SF。日本の漫画市場は縮小していくばかりで、もはや斜陽産業とも言われてますから、今後こういう形で日本人漫画家が...

新々上がってなンボ!太一よ泣くな

2004年初出 小池一夫/叶精作小池書院劇画キングシリーズ 全12巻ようやく念願のプロゴルファーになれた太一の活躍を描く、新上がってなンボの続編ゴルフ漫画。前作終了年に新連載が開始されてるので、もともと続きを書く予定だったのかもしれませんせ...

涙弾

1988年初出 小池一夫/伊賀和洋集英社プレイボーイコミックス 全21巻パリの並行警察出身の日本人、切葉弾の活躍を描いた刑事もの。本作に限っては、小池一夫らしからぬ感じで主人公のキャラがあんまり濃くない、というか立ってない感じです。というの...