レ・セルバン

2022年初出 濱田浩輔
小学館ビッグコミックスピリッツ 1~2巻(以降続刊)

剣と魔法の世界を舞台とした中世ヨーロッパ風バトルファンタジー。

何が一番近いか、ってえとやっぱりこりゃベルセルク(1989~)だな、と。

数多のRPGに薫陶を受けた内容、と言った方がいいのかもしれませんが、漫画作品である以上、これでベルセルクの影響は受けてないってのはさすがに通らないだろうと。

だから駄目だ、って話ではないんですけどね、ついに漫画の世界でもベルセルクチルドレンが登場する時代になったか、と思うと感慨深いものはあります(私が知らないだけでとうに存在してるのかもしれないけど)。

三浦建太郎もいなくなっちゃったことですしね、自分にしか描けないベルセルクに挑むのは新人作家として正しい、と私は思いますしね。

そこは外野の声に惑わされる必要ないでしょうし。

没落した王国の王と、記憶をなくした姫の流浪の物語としてストーリーが進行していくのも、ありそうながら悪くない。

ま、どうしたってガッツ一行にも似た「足手まとい共と一人の最強の戦士」という構図がちらついたりはするんだけど、それを躱す算段だったのか、わかりやすい家族の物語としてシナリオを編んでいったのは賢明だったと思います。

複雑な感情が激しく渦巻く愛憎劇で勝負したところでベルセルクに勝てるはずもないですしね。

あとは絵柄ですかね。

画力は高いと思うんですが、でてくる女の子がね、なんだか物語の重厚さの割にはラブコメのキャラみたいなんですよね。

女の子をどう描くかのパラメーターが、美しさより、現代っぽい可愛さに大きく振られてるような気がした。

これはこれでこの人の作風なのかもしれないですけど、私は少し損をしてるように感じた。

なんかね、軽く映っちゃうんですよね。

軽く流しちゃだめだろ、って場面でも、姫が登場してきた途端に深刻さが失われてしまうというかね。

読んでるうちに慣れてはくるんですけどね。

あとは人類の命運を左右する厄災、黒い竜とはなんなのか?に高い想像力でもって実存性をもたらしめることができれば更に化けるかもしれません。

王がやたらと強すぎるのも相応の裏付けが欲しいところかな。

とりあえずは今後の展開に期待、といったところでしょうか。

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