ウスズミの果て

2022年初出 岩宗治生
エンターブレインハルタコミックス 1~2巻(以降続刊)

いわゆるディストピアな近未来世界で、たったひとり生き残った女の子が廃墟を住処に人外の相棒と黄昏な毎日を送る、というプロットはなんだか多くの人を惹きつけるみたいで。

ちょっと記憶を弄っただけで虎鶫(2019~)とか少女終末旅行(2014~)とか色々思い浮かんでくるわけですが、私の感覚だと一番近いのはBLAME!(1997~)かな、と。

閉塞的な迷宮を当て所なく旅し続けるわけじゃないし、主人公の性別が違いますけどね、ほぼすべての人類が死に絶えたであろう街を、もはや遂行すべきなのかどうかわからぬ使命に突き動かされて渡り歩く、という筋立てがなんだか似てるように思えて。

どうしたって明るくなりきれない物語のトーンや、人物より背景の作画の方が力入ってるな、と思われる作風もなんだか近しいものを感じる。

ま、どうあれ「またこのパターンか・・」というのが私の場合、少なからずあって。

例えばこの作品が80年代や90年代のものであるなら、まだしも目新しさと斬新さでもって好意的に迎えられたかもしれないですけど、もはやジャンル化しつつある出涸らしですしね。

後発の人外✕少女ものと同じで「まだやるのかよ」といった出遅れ感はどうしたって否めない。

作中における人類を破滅に追い込んだ断罪者と呼ばれる存在にしたって、あんまりお話が膨らみそうな気配や意外性はなさそうですし。

結局、暮れていく世界と少女というシチュエーション浸ってるだけな気がしなくもなくて。

もう雰囲気もので片付けてもいいんじゃない?と思ったりもしなくはないんですが、唯一私が「あ、これは・・」と思ったのがらしからぬ作劇のうまさ。

完全に不意をつかれたのが1巻4話の「洋館」。

やばい、これ酔っぱらってたら落涙する、と思った。

こんなことができるのか、と少し唸らされた部分もあって。

このまま物語を紡ぐ膂力を向上させていけば、ありきたりなプロット云々を飛び越えていずれ体力でねじ伏せられるかもしれんな、と思いました。

SFだからこその想像性を生かしたストーリー展開を期待したいところ。

終末✕少女の代表的作品と目されれれば後発も出涸らしもクソもないんで、長く連載続けてほしいですね。

実はまだ代名詞と呼ばれるほどの完成度を誇る作品は出てきてない、と思うんで。

現時点ではどう転ぶかわかんない、というのが正直なところですが、なにかやってくれそうな気配はあるように思いますね。

タイトルとURLをコピーしました