太陽と月の鋼

2020年初出 松浦だるま
小学館ビッグコミックスペリオール 1巻~6巻(以降続刊)

金属に触れることの出来ぬ下級武士、鋼之助の思わぬ運命の変転を描いた時代劇。

えー、一応便宜的に時代劇と書きましたが、どっちかというとサイキックなSF冒険譚といったほうがいいかもしれません。

なんせ陰陽師どもが跳梁跋扈して人知を超えた謎の能力を発揮したり、未来視が可能な人物が主人公のそばにいたりするんでね、舞台が江戸時代なだけ、と思っておいたほうが作品世界に入り込みやすいかも。

主人公鋼之助の金属に触れぬ体質すらとんでもない裏がありそうな上、嫁の月はなんだか時間を超えてきたっぽいことを匂わせてたりするんで、ストーリーの顛末は世界を巻き込んで大騒動な展開となりそう。

いわゆるネオ時代劇、ってやつですかね、私はあんまりこの言葉好きじゃないんですけど。

おそらく物語の根底にあるのはロミオとジュリエット的な悲恋物語。

多分ですけどね、時空を超えた愛の物語をどう決着つけるかに作者の手腕がかかってるんじゃないか、と。

いや、まだわかんないですけど、そこは私の想像。

で、この手のお話って私はあんまりそそられるものがなくて。

なんとなく先の展開が予想できてしまう焼き直しな感じが興味を軽減させて。

すげえ意外な場所に着地することはきっとない。

作者が描きたいのは鋼之助と月の物語で、読者が期待しているのも二人の愛の顛末だと思うんで。

作画が内容にそぐわないような気がするのも難点。

私だけなのかもしれませんが、なんだか古いホームコメディみたいな豊かすぎる表情の描写や、ともすれば四頭身にも見えてしまうキャラクターの顔面の大きさが気になった。

ありていにいうなら昭和っぽいんですよね、良くも悪くも。

ま、愛の物語に振り切るなら振り切るでね、小池一夫のケイの凄春(1978~)ぐらい死にものぐるいだったらまだのめりこめるんですけど、多分そこまではいかないだろうしなあ。

早くも7巻でちょろっと再会してるみたいですしね。

もっと徹底的に引っ張らんかいっ、って。

前作、累(2013~)は読んでないんでね、はっきりとしたことは言えないんですが、現代劇やコメディを描いたほうが資質に適してそう。

もう少し、追いかけてみようかな、とは思ってるんですけどね。

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