90年代

ギャラリーフェイク

1994年初出 細野不二彦小学館ビッグコミックス 1~32巻(以降続刊)コンスタントにヒット作を多産していた作者ですが、青年誌における細野不二彦の名を不動のものにしたのが本作でしょうね。この漫画で揺るがぬステイタスを築いた、ってのも凄い話な...

ごめんあそばせ

1992年初出 細野不二彦スコラバーガーSC 全3巻食品会社に務める美人OL、鬼龍院ひな子の屈折した振る舞いを描いたオフィスギャグ。簡単に言っちゃうなら、平成版いじわるばあさん(長谷川町子)ってな感じなんですけど、ババアが底意地悪いんじゃな...

愛しのバットマン

1991年初出 細野不二彦小学館ビッグコミックス 全13巻プロ野球球団で4番バッターを務める雄太郎とその妻リカの、おしどり夫婦ぶりを描いたコメディタッチのホームドラマ/野球漫画。細野漫画に陰と陽があるとすれば、この作品は間違いなく陽に属する...

ジャッジ

1990年初出 細野不二彦双葉社アクションコミックス 全2巻無残にも殺された人たちの恨みを、その霊能力でもって晴らす「闇の司法官」の活躍を描いたオカルトバイオレンス。はるか太古から、逢魔一族と呼ばれた闇の司法官が存在していて、この世の法では...

太郎 TARO

1992年初出 細野不二彦小学館ヤングサンデーコミックス 全24巻地銀に勤めながらもプロボクサーとしてチャンプを目指す、主人公太郎の二足のわらじ生活を描いたサラリーマン/ボクシング漫画。プロットは悪くない、と思うんです。ボクシング漫画という...

ファンタジー、おじさんをつつむ

1996年初出 しりあがり寿エンターブレインビームコミックスいわゆるモーレツ社員(死語)であり、24時間働けますか?(リゲイン)と問われて、本当に働いてきた団塊の世代や社畜たちの、逃げ場のない苦悩を描いた連作短編集。高度成長期ならいざしらず...

方舟

1999年初出 しりあがり寿太田出版描かれているのは静かに忍び寄る終末。そこに、核爆発も宇宙大戦争もなければ、巨大な隕石の飛来もない。ただ、しとしとと「雨」が降る。ただしその雨は決してやむことがない。「まさかね、いつかはやむでしょ」と多くの...

弥次喜多 in DEEP

1997年初出 しりあがり寿エンターブレインビームコミックス 全8巻真夜中の弥次さん喜多さん(1994~)の続編。前作で物語は、一応の落とし所を見つけはしたものの、旅の終着点である「お伊勢さん」にはまだ到着してなかったんで、続きが描かれるこ...

ア◯ス

1998年初出 しりあがり寿ソフトマジックレヴォルトコミックさてこのタイトル、どう読めばよいの?ってところからまずは悩むわけで。多くの人は「きっとアリスだろう」と言ってるみたいですが、作者自身は「アマルスと呼んでます」などとすっとぼけた事を...

瀕死のエッセイスト

1993年初出 しりあがり寿ソフトマジックレヴォルトコミック「死」をテーマに、明日をもしれぬ病人を狂言回しとして、幻覚的でシュールな物語を綴った連作。死を考えることで生き様を問う、みたいな感じのことがやりたかったのかな?と思うんですけど、ど...

真夜中の弥次さん喜多さん

1994年初出 しりあがり寿マガジンハウスmag comics 全2巻何事か、ってレベルでしりあがり寿が「化けた」のがこの作品でしょうね。十返舎一九の「東海道中膝栗毛」が元ネタですが、古典すぎて手にとったことすらないんで色々調べてみたら、意...

七夕の国

1996年初出 岩明均小学館ビッグコミックスピリッツ 全4巻物質を穿つ(空間ごと削り取る)能力を持つ大学生が巻き込まれる、奇妙な出来事を描いた伝奇?SF。はっきり言って、90年代においてさえ決して目新しいとは言えない題材だ、と思うんです。最...

寄生獣

1990年初出 岩明均講談社アフタヌーンKC 全10巻長い間誤解していたんですが、改めて読みなおしてみると、寄生獣って「宇宙から飛来した」とはどこにも書かれていない、という事実に、今更なんですけどかなり愕然としました。むしろ地球で生まれたか...

月喰ウ蟲

1991年初出 大越孝太郎青林工藝舎<収録短編>月喰ウ蟲變質狂の桃源郷肉と限界パノラマ境奇譚悪夢の森の満開の下メトロポリスモチーフ織垣家の娘差出人をみたら匿名だこりゃ月喰う蟲私が読んだのは改訂版。なんでしょう、ガロ(アックス)というとやっぱ...

Holy Brownie

1996年初出 六道神士少年画報社ヤングキングコミックス 1~4巻(全6巻)グリム童話の靴屋の小人をモチーフに、人には不可視の小人(妖精)たちが世界のひずみを神の意志の元に修正すべく、奮闘する様子を描いた一話完結のファンタジー。設定は壮大と...

市立戦隊ダイテンジン

1994年初出 六道神士辰巳出版成人誌に連載されたエクエル・サーガのパイロット版とでも言うべき数話が収録された1冊。なんせ成人誌ですんで、当たり前の話なんですけど毎回毎回意味なくエロシーンがあって、それがもうどうにもわずらわしいというか、う...

エクセル・サーガ

1996年初出 六道神士少年画報社ヤングキングコミックス 全27巻全く予備知識なしで手にとったので、絵柄とタイトルから想像するに「多分角川系の中世異世界ファンタジーなんだろうなあ」「ニッチな読者層にしか訴えかけてないんだろうなあ」と、一方的...

マフィアとルアー

1996~01年初出 TAGROスタジオDNA同人誌時代の作品も含む短編集。絵柄が現在と全く違うものもあって興味深いんですが、一刀両断してしまうなら「青いなあ」ってところでしょうか。どこか初期の浅野いにおに通じるものもあったり。切り口がおも...

拡散

1993年初出 小田ひで次エンターブレインビームコミックス 上、下巻どこか風変わりな少年、カッちゃんの身の上に起こった奇妙な現象を描くSFファンタジー。タイトルが「拡散」なわけですけど、これ、読んでそのまま主人公カッちゃんに起こった物理現象...

天使の時空船

1993年初出 松本零士潮出版社希望コミックス 全7巻銀河系宇宙を飲み込む、謎の崩壊断面から人類を救うため、レオナルド・ダ・ヴィンチが生存した15世紀のイタリアへとタイムトリップしたヒロイン、マミヤを描いた大河SF。さて、なぜマミヤはダ・ヴ...

ピンポン

1996年初出 松本大洋小学館ビッグコミックスピリッツ 全5巻松本大洋にしてはケレン味のない普通のスポーツ漫画だと思いますね。だからこそ映画化やアニメ化につながった、ということなのかもしれませんが。努力と才能をどういう形で競技に反映させドラ...

チャイルド・プラネット

1996年初出 永福一成/竹熊健太郎小学館ヤングサンデーコミックス 全7巻大人にだけ感染する致死性の細菌兵器に侵された街で、生き延びる子どもたちの集団を描いたパニックSF。改めて言及するまでもなく、確信犯的な漂流教室(1972~)のリブート...

プラネテス

1999年初出 幸村誠講談社モーニングKC 全4巻2074年の未来、宇宙空間にてデブリの回収を生業とする宇宙飛行士、ハチマキの見果てぬ夢を描いたSFアドベンチャー。とりあえずデブリ回収員を主役に据えるという設定が斬新だし、科学を無視しない宇...

ドラゴンヘッド

1994年初出 望月峯太郎講談社ヤンマガKC 全10巻ド級のパニックSF、終末SFながら、全く何も明かされぬまま、あたかも打ち切りを宣告されてしまったかのように終わってしまった悪名高きシリーズ。当時リアルタイムで読んでいた愛読者は「なんじゃ...