月喰ウ蟲

1991年初出 大越孝太郎
青林工藝舎

<収録短編>
月喰ウ蟲
變質狂の桃源郷
肉と限界
パノラマ境奇譚
悪夢の森の満開の下
メトロポリス
モチーフ
織垣家の娘
差出人をみたら匿名だこりゃ
月喰う蟲

私が読んだのは改訂版。

なんでしょう、ガロ(アックス)というとやっぱり猟奇ははずせない、ってことなのかなあ、と少し思ったり。

そんな編集方針はありゃしねえんでしょうけどね、きっと。

簡単に言っちゃうなら、いわゆる丸尾末広や花輪和一系の漫画ですね。

エログロだったり、奇形だったり。

ただ、私の感覚からするなら、想像以上にぶっ壊れてないし、狂ってもいないな、と言う感じ。

きちんと計算がある気がするんですね。

この人はいったいどこまで行くんだろう・・と怖さを覚えるような得体のしれぬ衝動は感じられない。

猟奇だが理知的なんですね。

意外に手の込んだ仕掛けが物語に隠されてたりする。

割とSFなのも意外と言えば意外でしたね。

退廃的で偏執質なんですけど、デカダンがSFの舞台として独特の世界観を醸してたりする。

ポップな感覚が見え隠れするのも、らしからぬセンスだと思いますね。

この人、普通に描こうと思えば普通にやれるんじゃないか?みたいな。

非常に画力が高いのも美点でしょうね。

先駆者たる異端の猟奇漫画家たちの模倣に過ぎない、と切って捨てられぬ才覚が随所に垣間見えるんですよ。

ただ、それが好事家にとっては、どこか平滑で常識的に映るかもしれない。

もっと滅茶苦茶やってもかまわないんだよ、と私ですら思ったりしましたし。

ま、これをさらに滅茶苦茶というのも、頭がオカシイのか、と言われかねない話ではありますけど。

あとは好みでしょうね。

新世代の猟奇としてカルトなファンの支持を集めそうですが、私はなんとなく「わかってしまった」んで、この1冊で充分かな、と。

作者の伸びしろがこの先どういう方向に広がっていくのか、猟奇に特化しないならまたいつか新作を読んでみてみてもいいかな、と思ったりはしてます。

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