ジャッジ

1990年初出 細野不二彦
双葉社アクションコミックス 全2巻

無残にも殺された人たちの恨みを、その霊能力でもって晴らす「闇の司法官」の活躍を描いたオカルトバイオレンス。

はるか太古から、逢魔一族と呼ばれた闇の司法官が存在していて、この世の法では裁けぬ悪を人知れず滅してきた、という物語設定なんですが、この漫画を初めて読んだときはもういい大人だったんで、単純に「嘘つけっ」と思ってしまいましたね。

古いアメコミでよくありそうなパターンですけど、舞台を日本にするとなんでこうも嘘くさくなるのか、ホント不思議だ。

このころちょうど伝奇バイオレンスブームだったんで、ヒントは夢枕獏や菊地秀行にあったんでしょうけど、そこに必殺仕事人を足しちゃあいけない、と思う次第。

というかやってることは平松伸二のブラック・エンジェルズとほぼ同じだ。

ま、そこはザ・ハングマン(テレビドラマ:1980~)でも何でもいいんだけど、要はひどい子供だましだということ。

こんなのお笑い半分で悪ふざけ満載なぐらいじゃないと真面目に読んでられないですよ。

主人公の二面性が、後に発表されたダブル・フェイスの雛形になったか、と思ったりもするんですが、私にとってはそんな小さな発見がすべてといってもいい一作でしたね。

どうした、細野不二彦?と真剣に憂えた作品。

なぜかOVA化されてますけど、うまく時流に乗った、ということなんでしょうか、うーん、わからん。

日本人はこの手の復讐譚が好きだからなあ。

しかしまあ、なんでも描ける人だ、と感心した部分もあるんですけど、今あらためて読み直すような漫画じゃないですね。

映画化された陰陽師のように、歴史背景に基づいたもっともらしさがあれば化けたかもしれない、と思ったりはしますが。

私はどちらかというと熱心な細野ファンですけど、別段、なかったことにしてもいい作品です。

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