1996~01年初出 TAGRO
スタジオDNA
同人誌時代の作品も含む短編集。
絵柄が現在と全く違うものもあって興味深いんですが、一刀両断してしまうなら「青いなあ」ってところでしょうか。
どこか初期の浅野いにおに通じるものもあったり。
切り口がおもしろいな、と思える作品もあるんですが、どれもこれも総じてオチないし、過分に感傷的なんですよね。
若い読者はそういう部分にこそ惹きつけられるのかもしれませんけど、私は大人の鑑賞眼に耐えうるものを探して漫画沼に長時間の潜水を繰り返してるんで。
多くが同人作品であることを鑑みるなら、あんまり手厳しいことをいうのも心苦しかったりするんですけど。
そんな中、頭一つ抜けて傑作なのがおもいでエマノンを小道具に使った「トリコの娘」。
これは見事な短編だと思いますね。
不可解なシチュエーションが招く意味不明さを、鮮やかなオチで収束してみせた名編。
この一作のためだけに単行本を購入するかどうかは悩ましいところ。
一般的には「マフィアとルアー」が傑作、って言われてますんで、読み比べてみるのも一興かもしれません。