世界の合言葉は水

2008~09年初出 安堂維子里徳間書店リュウコミックス おそらく本書が作者のデビュー短編集。 当時、あちこちで話題になりましたが、後追いで読んでみて、それほど想像してた内容と大きく食い違うことがなく、ああ、この系統か、といった感じ。 少し...

ポルタス

2006年初版 阿部潤小学館ヤングサンデーコミックス いかにも0年代初頭のジャパニーズホラーブームに触発されました、とでも言いたげなホラー。 小道具からシナリオ構成、舞台設定に至るまでリングかはたまた呪怨かそれとも着信アリか、ってな有様で手...

リザとキツネと恋する死者たち

ハンガリー 2014監督 ウッイ・メーサーロシュ・カーロイ脚本 バーリント・ヘゲドゥーシュ、ウッイ・メーサーロシュ・カーロイ いやもう、最高の一言。 なにからなにまで私の嗜好にどストライク。 まさかハンガリーからこんな映画が飛び出してくるな...

ニュー・シネマ・パラダイス

イタリア/フランス 1989監督、脚本 ジュゼッペ・トルナトーレ 古き良き時代への郷愁を、監督の思い入れたっぷりに、その陽の部分に焦点を当てどこまでも心優しく描き出した傑作でしょうね、やはり。 時代背景として戦争の暗い影なんかもありますから...

ミスター・ノーバディ

フランス/ドイツ/ベルギー/カナダ 2009監督、脚本 ジャコ・ヴァン・ドルマル 全ての人類が不老不死を実現した世界で、最後に死を迎える老人ニモの回想を描いたSF大作。 それにしてもこのドルマルという監督はトト・ザ・ヒーローしかり、老境の回...

恋情デスペラード

2015年初出 アントンシク小学館少年サンデーコミックス 1巻(全6巻) 時代劇とマカロニウエスタンとスチームパンクをまとめて煮込んだような漫画。 木枯らし紋二郎的な股旅物の女版を制約にとらわれず自由にやりたかったのか、それとも着地点はまた...

ブラック・スキャンダル

アメリカ 2015監督 スコット・クーパー原作 ディック・レイア、ジェラード・オニール 実在のギャング、ジェームス・バルジャーの成り上がりから転落までを描いた犯罪もの。 このバルジャーという人物、現在も服役中らしく、アメリカでは有名な犯罪者...

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

アメリカ 2014監督 ジェームズ・ガン原作 ダン・アブネット、アンディ・ラニング 銀河のならずもの達がはからずも宇宙を救う!って、この手のネタのスペースオペラがこれまでいったいどれほど大量あったことか、ちょっと振り返ってみただけでも軽く貧...

リンドバーグ

2009年初出 アントンシク小学館少年サンデーコミックス 1~3巻(全8巻) 空を飛ぶことが禁じられた高地の王国で、空にあこがれる少年ニットの冒険を描いた異世界ファンタジー。 いかにも悪役な王様にバカ王子、迫害される主人公、優しい幼なじみと...

オデッセイ

アメリカ 2015監督 リドリー・スコット原作 アンディ・ウィアー ああ、これは人々の良心であり、性善性を謳った映画だ、と私は思った。 まず普通に考えてですね、火星にたった一人取り残された宇宙飛行士のために救出プロジェクトが立ち上がる、なん...

こわれゆく女

アメリカ 1974監督、脚本 ジョン・カサヴェテス 強迫神経症なのかパニック障害なのか判別はつかないんですが、その系統の精神障害を抱えた妻とその家族の愛憎と、とまどいを描いた作品。 グロリアで主演をつとめたジーナ・ローランズが妻役で出演して...

ガゴゼ

2006年初出 アントンシク幻冬社バーズコミックス 全5巻 舞台は室町時代、時の将軍足利義満の命で、陰陽士土御門有盛の手によりその強大な能力を奪われ子供の姿にされた伝説の大鬼ガゴゼの転落と再生を描いた一大妖怪絵巻。 ページを開いて読み進めて...

21グラム

アメリカ 2003監督 アレハンドロ・G・イニャリトゥ脚本 ギジェルモ・アリアガ ひとつの心臓を巡ってその人生を翻弄される三者の愛憎劇を描いた作品。 しかしイニャリトゥ監督はオムニバス風にいくつもの物語が同時進行していく構成が好きだなあ、と...

嵐ノ花 叢ノ歌

2008年初出 東冬徳間書店リュウコミックス 1巻(全8巻) 第二次世界大戦前夜のアジア大陸を舞台に日本軍嵐山機関、炎帝の子孫にあたる血族、そして紅軍と三者いりみだれてロボット風の超兵器や人外の魔物なども登場する歴史改変伝奇シュミレーション...

クリード チャンプを継ぐ男

アメリカ 2015監督、原案 ライアン・クーグラー まあ「ロッキー」シリーズのスピンオフですし、どうせスタローンが老骨にムチ打ってありえない大活躍の末、予定調和でハッピーエンドなんでしょ、とタカをくくっていたら、これがあなた、予想外にいい出...

海を飛ぶ夢

スペイン 2004監督 アレハンドロ・アメナーバル脚本 アレハンドロ・アメナーバル、マテオ・ヒル 事故で四肢麻痺になり、26年に及ぶ寝たきり生活を送る主人公ラモンの尊厳死を求める姿を描いた作品。 もう、半端じゃなく重いです。 四肢が動かない...

永遠のこどもたち

スペイン/メキシコ 2007監督 J・A・バヨナ脚本 セルヒオ・G・サンチェス 製作総指揮をギレルモ・デル・トロがつとめているせいもあって、彼の監督作デビルズ・バックボーンとの類似点に思わずにやりとさせられたりもするんですが、はっきりいって...

ブラッド・シンプル/ザ・スリラー

アメリカ 1984監督 ジョエル・コーエン脚本 コーエン兄弟 コーエン兄弟のデビュー作を彼ら自らの手で再編集し、99年に再発売されたもの。 当時劇場公開されたものは見てないんで、何がどう違うのか検証は出来ないんですが、そこはまあ識者の方々に...

トト・ザ・ヒーロー

ベルギー/フランス/ドイツ 1991監督、脚本 ジャコ・ヴァン・ドルマル 身寄りもなく、1人老人ホームで余生を過ごす主人公トマの現在を、子供時代からの回想をまじえて綴った人間ドラマ。 実は結構重い内容なのに、どこか軽いタッチでまとめ上げてし...

たたり

アメリカ 1963監督 ロバート・ワイズ原作 シャーリー・ジャクソン いわゆる幽霊屋敷ものの古典。 次々と住む人間が怪死をとげる謎の屋敷に人類学者率いる4人組みがやってきて、その謎を科学的に解き明かそうとするホラーなんですが、これがですね、...

やどかり

1982年初版 篠原とおる小学館ビッグコミックス 1~2巻(全14巻) 女性弁護士、志摩律子の活躍を描いた犯罪ドラマ。 いかにもビッグコミックに掲載されそうな作品だなあ、というのが第一印象。 良く言えばしっとりと人情ドラマ、悪く言えば毒にも...

狩人蜂

1981年初版 篠原とおる小学館ビッグコミックス 1~2巻(全3巻) 篠原とおるの作品を逐一追っていたわけではないので断言は出来ないんですが、おそらく作者はさそりのヒットによって、男も太刀打ちできぬスーパーレディを主人公にした漫画を描き続け...

さそり

1970年初出 篠原とおる小学館ビッグコミックス 全8巻 梶芽衣子の名を一躍有名にした「女囚701号/さそり」の原作にして、篠原とおるの出世作。 犯罪者を検挙するためならどんな悪辣な手段をも辞さない刑事、杉見の罠にはまって刑務所送りとなった...

バリー・リンドン

イギリス 1975監督 スタンリー・キューブリック原作 ウィリアム・メイクピース・サッカレー 18世紀のヨーロッパを舞台に、アイルランド出身の農家の小倅が世渡りのうまさと人柄を武器とし、貴族さながらに成り上がっていく様を描いた伝記的作品。 ...