2015年初出 アントンシク
小学館少年サンデーコミックス 1巻(全6巻)

時代劇とマカロニウエスタンとスチームパンクをまとめて煮込んだような漫画。
木枯らし紋二郎的な股旅物の女版を制約にとらわれず自由にやりたかったのか、それとも着地点はまた別の場所にあるのか、1巻のみでは判別つきませんが、この作品、意外と悪くないです。
時代劇風なのに書き文字がすべて英語、というのもなかなか斬新。
どうやら一方向のみ、科学が発達している世界であるように見受けられるのも期待させるものがありますし、仮面の赤影風に魑魅魍魎や巨大生物が跋扈するのも楽しい。
懸念材料としては、こういうなんでもありな世界観って、きちんとルール作りをしないと後々読者を醒めさせてしまう事になるという点と、現状、コメディである、という点。
やっぱりこれだけの大風呂敷を広げながら主人公の旅の動機が日本一の夫を探すため、というのはどこか少女漫画チックでいささか弱い。
もうちょっとシリアスな展開があってもいいと思うんですね。
ラストシーンをしめくくるための伏線となるような。
このままコメディで終わってしまうのか、予想外の展開が待ち受けているのか、現時点では全くわかりませんがここいらでアントンシクには一発、場外に消える大ホームランをかっ飛ばして欲しい、と思う次第。
4番を打てる実力はあるのにどうにも燻ぶってる印象がありますから。
先を期待させるだけのものはちゃんと用意してきた、って感じでしょうか。
当分追ってみたい、と思います。