ミラーズ・クロッシング

アメリカ 1990監督 ジョエル・コーエン脚本 コーエン兄弟 1929年のアメリカ東部の街を舞台に、マフィア同士の抗争の狭間でギリギリの駆け引きを演じる、若きギャングの奸計を描いた作品。 基本、私はマフィアものってあまり好まないんですが、こ...

バベル

アメリカ 2006監督 アレハンドロ・G・イニャリトゥ脚本 ギジェルモ・アリアガ しかしまあ、この監督はつくづく群像劇が好きな人だなあ、と。 今作もデビュー以来おなじみの調子で三つのドラマが同時進行。 日本、モロッコ、アメリカと舞台を別にし...

リトル・フォレスト

2004年初版 五十嵐大介講談社アフタヌーンKC 全2巻 田舎暮らしをテーマにした料理漫画、ってところでしょうか。 まるでおもしろくないわけじゃないんですが、とりたてて興味深いなにかがあるわけでもないです。 一言で言うなら他愛ない。 田園風...

ヒューマン・ネイチュア

フランス/アメリカ 2001監督 ミシェル・ゴンドリー脚本 チャーリー・カウフマン 制作にスパイク・ジョーンズとチャーリー・カウフマンが名を連ねてて、監督はミシェル・ゴンドリーときては期待するな、と言うほうが無理であって、つい見逃してたけど...

はなしっぱなし

1995年初出 五十嵐大介河出書房新社九龍コミックス 上、下 短編集と言うよりは、ショートショート集。 この手の作品は昔、奇想天外だとかSFマンガ競作大全集だとかでさんざん読んだような気も。 何となく坂口尚の初期を思い出したり。 オチらしい...

カボチャの冒険

2007年初版 五十嵐大介竹書房バンブーコミックス 猫マンガ好きのための市場においては見事ストライクかと思われる内容ですが、作者の資質を鑑みるに余技的エッセイマンガ、と言っていいのでは、と。 ただ、猫を過剰に愛玩動物視、しいては都合よく擬人...

クロワッサンで朝食を

フランス/エストニア/ベルギー 2012監督 イルマル・ラーグ脚本 イルマル・ラーグ、アニエス・フォーブル、リーズ・マシュブフ ああ、これは若い人が見ても全く面白くないだろうなあ、とちょっと思った。 好き放題生きてきたわがままなマダムと、同...

イット・フォローズ

アメリカ 2014監督、脚本 デヴィット・ロバート・ミッチェル ちょっと期待しすぎた、というのは正直ありました。 確かに発想は面白いと思うんです。 セックスすることによって感染し、死をもたらす謎の存在、というアイディアはどこかHIVのメタフ...

バートン・フィンク

アメリカ 1991監督、脚本 コーエン兄弟 なんともシュールな一作、と言うほかない。 1940年代アメリカ、ハリウッドに招かれ、映画のシナリオを書くことになった新進気鋭の劇作家が遭遇する仰天の出来事を描いた作品なんですが、まず私が驚かされた...

そらトびタマシイ

1993~00年初出 五十嵐大介講談社アフタヌーンKC 作者最初期の短編集。 しかしながらこれが魔女にも及ぼうか、という良作がいくつか収録されていてなかなか侮れません。  私が、特におおっ、と思ったのが「熊殺し神盗み太郎の涙」。 川の中にた...

魔女

2004年初版 五十嵐大介小学館IKKIコミックス 全2巻 今のところ五十嵐大介の作品の中で個人的に一番唸らされたシリーズ。 ただ世間の論調とは違う部分で私は評価していたりします。 自然に対する敬愛と畏怖が作品の根底にはあり、その手の描写で...

血潜り林檎と金魚鉢男

2010年初出 阿部洋一泰文堂アーススターコミックス 全3巻 阿部洋一のシュールさ、薄気味悪さ全開の1冊。 ただしほとんど瓦解しかけ、といってもいいかもしれません。 というのも肝心の内容がですね、金魚鉢を頭部に抱いた怪人が金魚鉢の中に飼う金...

ハッピーボイス・キラー

アメリカ 2014監督 マルジャン・サトラピ脚本 マイケル・R・ペリー 犬や猫、果ては生首とまで会話する少し変わった男の日常とその転落を描いたコメディ風のスリラー。 まず、大前提として「全く笑えない」というのが私の場合、ありまして。 幻聴が...

アンドロメダ・・・

アメリカ 1971監督 ロバート・ワイズ原作 マイケル・クライトン 人工衛星に付着して地球上に持ち込まれた謎の病原体、アンドロメダ株菌による人類滅亡の危機を描いた感染パニックもの。 当時の国家レベルでの危機防衛の描き方、地下研究施設を描写す...

シャイニング

イギリス 1980監督 スタンリー・キューブリック原作 スティーブン・キング 昔見たときは、なんだかオチがすっきりしない、結局どういうことなのかよくわからない、と幾分消化不良気味に感じたものですが、あらためて見てみて、そんな感想を抱いた過去...

少女奇談まこら

2006年初出 平野俊貴、植竹須美男/阿部洋一メディアワークス電撃Jコミックス 全4巻 かつてリイド社から刊行され、あっというまに廃刊になった少年ファングに掲載されていた作品。 2010年に発刊された電撃コミックジャパンに続編の連載が始まっ...

バニラスパイダー

2009年初出 阿部洋一講談社マガジンKC 全3巻 オープニング早々、物語の舞台となる町の上空に広大なくもの巣が張られたシーンが出てくるんですが、それを目にしただけでもうあたしゃノックアウト。 作品の世界観を構築するのにあれやこれやと手練手...

草原の実験

ロシア 2014監督、脚本 アレクサンドル・コット 一切のセリフなし。 平原にぽつん、と存在する古びた家屋で生活する父と娘の日常を淡々と描写することで軽く1時間が経過します。 あれ?セリフは?しまった、なしなのか!と思っても、もう遅い。 気...

赤ちゃん泥棒

1987 アメリカ監督 ジョエル・コーエン脚本 コーエン兄弟  実に映画としてきっちり作ってあって、コメディであるにもかかわらず、いわゆるコントっぽいスタイルに迎合しないのがこの人たちらしさ、なんだろうなあ、と思います。 もちろんギャグや悪...

残穢

日本 2015監督 中村義洋原作 小野不由美 いかにも小野不由美原作らしい、と言うのが見終わって最初に思った事。 愛読者の方々はよくご存知かと思いますが、とにかく小野さんって人はとんでもない量のエピソードと無数の登場人物達を十重二十重に積み...

アレクサンドリア

スペイン 2009監督 アレハンドロ・アメナーバル脚本 アレハンドロ・アメナーバル、マテオ・ヒル 紀元前4世紀末、エジプトに実在した女性天文学者であり哲学者であるヒュパティアの生涯を描いた歴史大作。 美術やセットに対するこだわりは相当なもの...

ロストメモリーB7

ドイツ 2015監督 オズギュル・ユルドゥム脚本 ベルンハルト・シュリンク 最近なんだかドイツ映画に話題作多いし、これもひょっとしたら掘り出・・・と油断したのがそもそもの間違いだったような気がしなくもありません。 原作は映像化不可能と言われ...

オペラ座血の喝采

イタリア 1988監督 ダリオ・アルジェント脚本 ダリオ・アルジェント、フランコ・フェリーニ オープニングはいきなりカラスの目の大写し。 徐々にカメラがズームアウトすると、そこにはオペラの調べにのせ、カラスが劇場内を飛び交う、という異様な光...

クリムゾン・ピーク

アメリカ 2015監督 ギレルモ・デル・トロ脚本 ギレルモ・デル・トロ、マシュー・ロビンス やっぱりなんと言っても映像美、そこに尽きるでしょうね、この作品の場合。 物語の舞台となったイギリスの古びた屋敷の内観へのこだわりようときたら、幻想絵...