1981年初版 篠原とおる
小学館ビッグコミックス 1~2巻(全3巻)
篠原とおるの作品を逐一追っていたわけではないので断言は出来ないんですが、おそらく作者はさそりのヒットによって、男も太刀打ちできぬスーパーレディを主人公にした漫画を描き続けることを宿命付けられてしまったのだろうと思います。
それが作者にとって重圧だったのか、望むところだったのかはわからないんですが、ああ、らしいなあ、と誰もが感じるであろう一作がこのシリーズ。
ただここに「さそり」の緊迫感、カリスマ性はありません。
簡単に言ってしまうなら最初の設定で全部失敗してる、というのが実際のところでしょうね。
多分作者は法の目をくぐる悪漢どもを懲らしめる女子大生3人組の痛快な活躍を描きたかったんでしょうが、そもそもキレ者すぎる3人組はいったい何者なのか、という点からしてさっぱりわからないですし、なんのためにそんな危ないことをやってるのかもわからない、結果、現実味のないまま超人ぶりばかりが強調される有様。
やっぱり主要キャラの背景も動機も見えてこない仕置き劇にカタルシスを得るのは難しいと思うわけです。
「さそり」でもその手の危うさは幾分見え隠れしてたわけですが、ここにきて作者の詰めの甘い作劇が全部裏目に出ちゃったか、と。
人気もふるわなかったよう。
熱烈なファン向けでしょうね。
劇画タッチでシャープな作画は素晴らしいんですが、なかなか再評価は難しいのでは、と思う次第。