2006年初出 平野俊貴、植竹須美男/阿部洋一
メディアワークス電撃Jコミックス 全4巻

かつてリイド社から刊行され、あっというまに廃刊になった少年ファングに掲載されていた作品。
2010年に発刊された電撃コミックジャパンに続編の連載が始まったんですが、これも2013年の廃刊に伴い終了。
ゆえに現在、未完。
つくづく不遇な作品です。
まあその、原作が二人ともアニメ畑の人なので、どうしてもアニメの手法がちらついてそこがあまりよろしくないと感じる部分も微妙にあったりはするんですが、だからといって2度の中断の憂き目に会うほどつまらない作品では決してありません。
やってることは主人公を少女に置き換えた鬼太郎であり、オマージュのようなものですが、阿部洋一の独特でシュールな作画が、それをまるで別物のように印象づけてます。
特に第6話貝牢窟のサイケで幻想的な作画は異様。
いったいなんの漫画なのか、と。
この創造性の凄さは水木先生の本歌取り以上のものでは、と私は思ったり。
主人公まこらの行動の指標となるのが、消えた母を訪ねることにあるので、勧善懲悪な爽快感は希薄ではあるんですが、それを補ってあまりある玄妙さ、蠱惑的な表現が存在しているのは確かでしょうね。
母と出会うことでハッピーエンドとなるのか、それともまったく別の方向にオチるのか、つくづく最後まで描かせてあげたかった。
どこか、続きをやりましょう、と進言する出版社はないものか。
原作者の筋書きと作者の個性がさらに刺激しあえばとんでもない傑作になったのでは、という気もするもったいない一作。