ロシア 2014
監督、脚本 アレクサンドル・コット
一切のセリフなし。
平原にぽつん、と存在する古びた家屋で生活する父と娘の日常を淡々と描写することで軽く1時間が経過します。
あれ?セリフは?しまった、なしなのか!と思っても、もう遅い。
気づいた時には最後まで見るしかありません。
そういう作品。
ロシア映画ですが、出演している役者の顔立ちはどうもモンゴル人っぽい感じ。
外モンゴルの遊牧民が生活する居住区でのお話かもしれません。
後半は、少女の淡い恋心が描かれてるんですが、無声映画っぽい質感はそのままで、特に劇的だったりするわけでもなく。
ただどこまでも続く平原と少女の美しさ、そのコントラストがすべて、と言ってしまえばもうそれまで。
やっぱりこれ、多くの人は同郷ということもあってアンドレイ・タルコフスキーを想起するんでしょうね。
監督が影響受けてるのかどうかはわかりませんが、私は「ストーカー」を思い出したりも。
確かに映像は美しいです。
ただこれ、寝てしまう人は間違いなく寝る、と思う。
私も結構きわどかった。
一応、ラストに唐突かつ仰天なオチが待ち受けてますが、そのために97分耐えられるかどうかはその人次第。
個人的にはなんだか東西冷戦時代の作品みたい、と思いましたね。
今、このテーマで描くのなら、やっぱりラストに待ち受けてるのはテロじゃないのか、と私は考えたりするわけです。
あえて物語をこういう形で締めくくった意図はわからなくもないんですが、セリフなしで撮ろうと思った作為も含め、ちょっと前時代的で思い込みが過ぎるかな、と。
ある種の実験映画といってもいいかもしれません。
嫌いじゃないんですが、じゃあおもしろいのか、と問われると返答につまってしまいそうな、ちょっとやっかいな映画でしたね。
どうなんだろうなあ、好きな人は好きなんでしょうかね。
なんかもう歯切れの悪いことしか書けねえなあ、どうにもこれ。