1993~00年初出 五十嵐大介
講談社アフタヌーンKC

作者最初期の短編集。
しかしながらこれが魔女にも及ぼうか、という良作がいくつか収録されていてなかなか侮れません。
私が、特におおっ、と思ったのが「熊殺し神盗み太郎の涙」。
川の中にたくさんの瓶が沈んでいるシーンは軽く鳥肌もの。
少しいじってやればジブリの原作にも成りうるのではと思える質の高いファンタジー。
「すなかけ」もお見事の一言。
砂が体から出る特異体質の女の話でまさかこうも劇的な見せ場を作ってくるとは思わなかった。
表題作も幻想的で悪くない。
ちょくちょくグロテスクな描写があるのが一部読者に嫌われそうな気もしなくはないんですが、それを差し引いてもこの手のジャンルの作品集としては最良の部類だと思いますね。
ファンのみならずお薦めの一冊。
あ、最初からものが違う、と実感してもらえるはず。