ベンジャミン・バトン 数奇な人生

アメリカ 2008監督 デヴィッド・フィンチャー脚本 エリック・ロス アイディアは実におもしろかった、と思うんです。 老人の姿で産まれて、どんどん若返っていく男、という着想は、ちょっと想像をめぐらせただけでもあらゆるドラマが作りだせそうで非...

萩尾望都作品集 第Ⅱ期

1巻、2巻 百億の昼と千億の夜はこちらのページ 1978年初出 3巻、4巻 スター・レッド 私の中で萩尾SFが完成した、と感じたのはこの作品から。舞台は火星で、しかも超能力バトルものだったりして、これといって目新しい試みは特にないんですが、...

MOMMY/マミー

カナダ 2014監督、脚本 グサヴィエ・ドラン 発達障害の子供を持つ母親が、法的手続きを経ることなく子供を施設に預けることが出来る架空の社会を舞台に、一組の母と子に焦点をあて、その愛憎渦巻く関係を描いた作品。 これまで一貫して性的マイノリテ...

萩尾望都作品集 第Ⅰ期(抜粋)

1969~73年初出 1巻 ビアンカ<収録短編>ルルとミミ/すてきな魔法/クールキャット/爆発会社/ビアンカ/ポーチで少女が子犬と/ベルとマイクのお話/雪の子/千本めのピン 萩尾望都の最初期の短編を集めた一冊。80年代の作者の作品に慣れ親し...

遥かなり夢のかなた

1975~80年初出 竹宮恵子小学館文庫 <収録短編>遙かなり夢のかなた集まる日オルフェの遺言夢見るマーズポート決闘2108年西暦2763年の童話ジルベスターの星から真夏の夜の夢夜は沈黙のとき SF系の作品ばかりを集めた短編集。 「遙かなり...

π

アメリカ 1997監督、脚本 ダーレン・アロノフスキー 円周率(π)の謎を解くことにとりつかれた偏屈な数学者を描いたSFサスペンス。 目のつけどころはおもしろかった、と思います。 精神論や感覚的な抽象論に逃げず、それなりのうんちくを用意して...

地球へ

1977年初出 竹宮恵子スクエアエニックスGファンタジーコミックス 全3巻 なんせ初めて読んだ竹宮恵子のマンガが「風と木の詩」だったので、当時学生だった私は激しい嫌悪感を覚え、それが原体験となり、本当に長い間、氏の作品は敬遠しておりました。...

死霊のはらわた

アメリカ 1981監督、脚本 サム・ライミ 昔見たときはすげえ怖え、と震え上がったものですが、あらためて見てみると、え、こんなものだった?ってちょっと首をひねったりとか。 いやはや月日の流れとは情け容赦ないものです。 なにもかもが拙い、とい...

ミステリオス

1972年初出 小室孝太郎高橋書店 全2巻 ワーストや命MIKOTOの強烈さを期待すると完全に肩透かしをくらうと思います。 学園の番長で、素行不良な主人公悟郎が、なぜか救われない魂をあの世に送る手伝いをする羽目になる、というオカルトファンタ...

命 MIKOTO

1978年初出 小室孝太郎集英社ジャンプスーパーエース 80年代にブームを巻き起こした伝奇バイオレンスの先駆けとも言える作品。 漫画で呪術、密教を題材としたオカルトアクションをやったのはおそらく本作が最初ではないか、と思います。 恐ろしく早...

カリフォルニア・ダウン

アメリカ 2015監督 ブラッド・ペイトン脚本 カールトン・キューズ 開始数分で強烈な自動車事故のシーンがあり、恐るべき速さで観客のハートをわしづかみ。 映画はオープニングで名作か駄作か決まる、と誰かが言っていた様な気がしますが、その法則に...

ゾディアック

アメリカ 2006監督 デヴィッド・フィンチャー原作 ロバート・グレイスミス 以前見たときは、やたらダラダラと緊張感もなく冗長と思ったんですが、あらためて見直してみて、これのどこが退屈なんだ、とかつての自分を張り倒してやりたくなりましたね。...

メメント

アメリカ 2000監督、脚本 クリストファー・ノーラン 短期記憶が数分おきに消えてしまうという記憶障害を患った男を描いたサスペンス。 やはりですね、前向性健忘というあまり知られていない疾患を題材としたのが凄かったように思います。 普通はそこ...

ワースト

1970年初出 小室孝太郎集英社ジャンプコミックス 全4巻 侵略SF、パニックSFの傑作として好事家の間で名高い作品ですが、なるほどこれは先駆的作品として伝説化するのもわかる、と納得の一品。 とても少年ジャンプ掲載とは思えません。 いったい...

Mr.タスク

アメリカ/カナダ 2014監督、脚本 ケヴィン・スミス 人間をセイウチに外科的改造してやろうと執念を燃やす、サイコな老人に捕まった男の悲劇を描いたホラー。 もうほんとにね、どうしていいやら。 つっこみどころがありすぎて。 よくぞこの企画が通...

アタゴオルは猫の森

1999年初出 ますむらひろしメディアファクトリーMFコミックス 1~2巻(全18巻) 作者のライフワーク、アタゴオルシリーズの現時点での最新作。 まるでつい昨日まで連載が続いていたかのような違和感のなさで、そこは素直に感心しますし、ストー...

ゼロの未来

イギリス/ルーマニア/フランス/アメリカ 2013監督 テリー・ギリアム脚本 パット・ラッシン ああ、これは近未来SFの形をまとった現実との合わせ鏡だ、と私は思いましたね。 余計な説明は一切排除された不親切な内容で、どこか観念的であったりす...

コスモス楽園記

1986年初出 ますむらひろしスコラ バーガーSC 全5巻 作者のライフワークであるアタゴオルシリーズにおいて、この作品がどういう位置付けなのかはよくわからないんですが、これはちょっとあなどれない、と驚かされたましたね。 一般には「アタゴオ...

アタゴオル物語

1976年初出 ますむらひろし朝日ソノラマ 1~3巻(全6巻) マンガ少年に掲載された、人語を解する巨大猫ヒデヨシと少年テンプラの活躍を描いた作者おなじみのファンタジー、最も初期のもの。 後年に比べると作画がかなり拙い、というのはあります。...

キングスマン

イギリス 2014監督 マシュー・ボーン原作 マーク・ミラー、デイヴ・ギボンズ うーん、悪い意味で漫画的。 しかも少年漫画。 古き良きスパイ映画に対するオマージュであり、リブートだから、と無理矢理自分を納得させることも不可能ではないんですが...

突撃

アメリカ 1957監督 スタンリー・キューブリック脚本 スタンリー・キューブリック、カルダー・ウィリンガム、ジム・トンプソン 戦争映画、って気持ちが滅入ってくるのであまり好んでみようとは思わないんですが、それでもこの「突撃」に関してのみはあ...

忍者武芸帳

1959年初出 白土三平小学館文庫 全8巻 史的唯物論を持ち込んだ忍者漫画の歴史的傑作と言われたシリーズ。 かの手塚治虫は白土三平のせいで漫画にイデオロギーを求められるようになってしまった、とぼやいたぐらいだから当時の衝撃は相当なものだった...

サスケ

1961年初出 白土三平小学館文庫 全10巻 なんせ60年代の少年向け忍者活劇ですんで、さすがに古さを感じる部分はあるわけです。 それでもアニメで慣れ親しんだ少年忍者サスケの勇姿に、心躍るものがない、といえば嘘になる。 絵柄は劇画タッチな後...

カムイ外伝

1965年初出 白土三平小学館ビッグコミックス 全20巻 白土三平の作品の中で一番大好きなシリーズ。 何事か、っていうぐらいおもしろい。 少年サンデーで連載されていた初期の数話は子供向けを意識してか、絵柄も違い、忍者アクションものと言った風...