アメリカ 2015
監督 ブラッド・ペイトン
脚本 カールトン・キューズ
開始数分で強烈な自動車事故のシーンがあり、恐るべき速さで観客のハートをわしづかみ。
映画はオープニングで名作か駄作か決まる、と誰かが言っていた様な気がしますが、その法則に従うなら間違いなくこの作品は名作ですね。
技術の進歩は目覚しいなあ、とつくづく思いました。
縦方向に回転する車の中を撮る、なんてこともやれてしまうんだ、と。
いや、CGなのかな?わからん。
映像の迫力は物語全編にも及んでます。
大地震に見舞われるアメリカ西海岸崩壊の描写は、あまりのリアルさに知らない場所であるにもかかわらず肝が冷えたほど。
ゴジラ見ててもここまで怖い、と思わなかった。
天災の凄まじさを緻密に再現した絵作りは凄まじかった、と思います。
もうそれだけで最後までまんじりともせず観通せる。
ただですね、シナリオそのものに言及するならジャンル映画の枠組みを超えることはなかった、と思うんですね。
家族愛がテーマの救出劇、って既出のパニック映画でさんざん使いまわされている題材ですし。
そこから踏み出してこそ、この映画は歴史に名を刻めた、と思うんですが、最後まで悪い意味で裏切られることはなかったですね。
主演のドウェイン・ジョンソンもあれだけの肉体をセールスポイントとしながらも、それを生かせてるようなシーンはなかったですし。
いや、天災に筋肉で立ち向かえ、と言ってるわけじゃないんです。
ドウェインを抜擢するなら、彼の類まれなる肉体をもってしてもなす術がない、という演出をせめて織り込むべきだった、と思うんですね。
じゃないと主演ドウェインである必要がない。
彼の演技力についてどう評価されているのか私は詳しくないんですが、筋肉を生かせないパフォーマンスで観客を魅了できるほどの役者ではない、と私は感じました。
映像だけで充分ハラハラドキドキでこの手の映画としては及第点をクリアしてる、とは思いますが、ストーリーに関してはもう少し工夫の余地はあった、と言ったところでしょうか。
家族で楽しむタイプの作品、と言いたいところですが、東日本大震災後の日本においてはそれもなかなか微妙なところで、表現ってのはやはり少なからず誰かを傷つけるものなのかもなあ、なんて関係ないことを思ったりもしました。