アメリカ 2022
監督、脚本 デイミアン・レオーネ
殺人ピエロの惨殺劇を描いたスプラッター・ホラー。
私は前作見てないんですけど、この内容なら見てなくても全く問題ない気がしますね。
前作からどうお話がつながってるのか、よくわかんないんですけど、あれこれ想像巡らせるまでもなくアメリカンホラーの定型をそのままなぞってる感じなんで。
ジョン・カーペンターのハロウィン(1978)みたいなもんだろ、で大体合ってると思う。
つまりハロウィン2だと思って見れば良い、ということ。
それって新作映画の立ち位置としてどうなんだ?というのはあるかもしれませんが、はっきり言ってですね、21世紀のホラーとして目新しいものはなにもないんで。
焼き直しというか、80年代~90年代当時のリバイバル的アプローチというか。
新作としてのセールスポイントはかなり見出しにくい。
そもそも殺人ピエロってキャラ自体が食傷を通り越して、やってて嫌にならんかってレベルのマンネリ度だと思いますし。
殺人ピエロ、アート・ザ・クラウンのキャラデザインも怖いというより、安っぽさの極みですしね。
私なんざ最初に見た時、聖飢魔IIのライデン湯沢(デビュー当時ね)かと思ったしね。
10万◯歳なのかよ。
結局、特殊メイクアップアーティスト出身のデイミアン・レオーネ監督が、持てる知識と技術を駆使してCGにはない手作り感を徹頭徹尾演出したかった、ってことなんでしょう。
監督のこの映画に対する愛情がとてつもなく深いのだけはわかる。
もう、アート・ザ・クラウンが好きで好きで仕方がない、ってのが見てて伝わってきますし。
そこに同調できるかどうか、でしょうね。
私はリアルタイムで死霊のはらわた(1981)やブレインデッド(1992)を見てる世代なんでね、こういうのはもういいわ、って感じですかね。
スティーブン・キングまがいの設定、プロットで、似たような血まみれ内臓乱舞を今更やられてもねえ。
熱量だけで勝負するにも工夫や創意は必要なんであってね、レトロを喜ぶのは古いマニアだけですから。
早い話が懐古的であることを免罪符にしたとしてもB級で凡庸。
コロナ禍における供給不足にうまくのっかった気がしますね。
ま、容赦なくゴアでスプラッターなのは確かですけど、生粋のホラー好きを驚かせるほどでもない、ってのが正直なところ。
最近のスタイリッシュなホラーに慣れた人たちが見て、びっくりしただけのことなんじゃないか、と思いますね、途中離席続出とか、吐いたとか。
あと、この内容で138分は長すぎ。
ただくどいだけのシーンがいくつかあるし、終盤の展開なんてファンタジックに度が過ぎてて頭の悪さをこれでもかとさらけ出してるんで、ほんときちんと考えて編集をやった方がいい。
続編作る意欲満々みたいですけどね、私はもう見ないかな。
もうやること残ってない、と思うんですけどね、この内容だと。