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アメリカ 2022
監督、脚本 タイ・ウエスト

1979年、テキサスの田舎町で自主映画を撮ろうと乗り込んだ若者6人組を待ち受ける、高齢殺人鬼夫婦を描いたホラー。

もう映画の触れ込みで「高齢」ってのがバレちゃってますんで、私もそのまま書いてますけど、この作品のキモはまさにその高齢な部分でしょうね。

多分殺人鬼夫婦、70歳は超えてると思うんですけど、サイコ野郎はいくつになってもサイコなままだった、ってのが、いうなれば一番のセールスポイントなわけで。

それを予めネタバラシしちゃうとか、なにか間違ってるような気がしなくもないんですけど、ま、制作側がそれも良し、としたのなら外野が口を出すことじゃないですしねえ。

なんせ3部作になることがアナウンスされてるA24のホラーですから、きっと計算があるんでしょう。

私は魅力が半減するがな!と思ったけどね。

どうせなら、1人、また1人と若者たちが惨殺されていくが、犯人が分からずパニック、まさかあの年寄り二人になにかできるはずもないし・・・みたいな感じでミステリ調に物語を進めていった方が犯人を突き止めたときのインパクトも高まって強く印象に残ったのでは?と思うんですが、見る前から「こいつらが首謀者なんだな」ってわかってる状態ですしね。

じいさんの心臓が良くない、って前フリがせっかくあるのに、別の結末に結びつけちゃってるもんなあ。

まあ、上手に年を取れなかった夫婦の老醜というかね、見苦しさみたいなものはうまく描写できてた(誰も得をしない場面とかあってね)と思うんですが、その手のドラマを期待する人って、あんまりこういう映画を見ないと思うんですよ。

もっと不可解で、人知の外にいる怪物であるかのように描いた方がらしかったような気もしますね。

70年代のアメリカンホラーへ対するオマージュというか、憧憬に満ちているのも「またかよ」って感じでしたし。

当時のリメイク作を近頃いくつか見たせいかもしれませんが、なんか最近、70年代舞台のホラーとか、多くない?みたいな。

携帯もネットもない時代のほうが重箱の隅をつつかれずに済んでやりやすい、ってことなのかもしれませんけど、懐古的に映るリスクもあるわけで。

高齢殺人鬼カップルという素材から考えるなら、現代が舞台のほうがギャップが凄くて面白かったのでは?と思うんですが、さてどうでしょうか。

例えば「あのじいさん、ガラケーすら持ってないんだぜ!?」みたいなセリフを若造に吐かせておいて、あとからまるっと惨殺されたりしたら可笑しいと思うんですけどね・・・いや、すいません、頭おかしいこと書いてるかもしれません。

あ、テイキング・オブ・デボラ・ローガン(2014)みたいに認知症を題材として煙に巻くのも面白かったかもしれない。

まあ、お手並み拝見、とまいりましょうか、あと2作あることですし。

余談ですが、ミア・ゴスが頭の悪いスター志望な女を、みるからにブサイクに熱演してて感心しました。

元々険のある顔立ちだなあ、と思ってましたけど、こうまではまるとは。

二役同時に演じさせるアイディアも良い。

キャスティングの妙はあったかもしれませんね。

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