2022 アメリカ
監督 タイ・ウエスト
脚本 タイ・ウエスト、ミア・ゴス
三部作になることがアナウンスされているXシリーズの第二弾。
時間軸からすると今作が一番最初の物語、ということになるか。
前作X(2022)はそれほど評価してなかった私ですが、やはりタイ・ウエストはこの企画に自信があったんでしょうね、Xは単なるお披露目とばかりに本作では俄然エンジンを吹かしてきた。
化けたとまでは言わないけど、ムカデ人間2(2011)に近いレベルで熱量高くなったと言っていいかもしれない。
大抵のホラー映画には免疫があると自負するホラー歴30年超えの私ですら、こりゃやべえ、と思いましたしね。
いや、ストーリーそのものは大したことないんです。
スターに憧れる農場暮らしの娘が、あんまりにも頭が悪すぎるゆえに現実を受け入れられず、最終的に壊れちゃう、ってだけの話なんですけど、主役を演じてるミア・ゴスがもう半端じゃない迫力で狂気を振りまいていて。
まだ若いだろうに大丈夫なのか?とこっちが心配になってくるほど全部をさらけ出してる、というか。
きれいに撮って欲しいとか、1ミリも思ってないんですよね(知らんけど、絶対そう)。
全力で演じるから鼻水一滴たりとも撮り逃がすんじゃねえぞ、って感じで。
こんなことやっちゃったら今後の活動に支障が出てくるのでは・・・と思えてくるほどに、とかく躊躇がない。
もうね、小さな違和感とか疑問とか全部ミア・ゴスの演技がふっとばしちゃうんですよね。
見てるだけで飲まれてしまう。
ミア本人にね、脚本がひっぱられてる状態なんです。
そりゃ、こんなやばい女、外に出したらだめだわ、オカンは意地悪で偏屈だと思ったけどわかってたのかな、と思ったり。
演技が物語の行間を読ませるんですよね。
ミアがこれまでどんな役を演じてきたのか詳しくは知らないんですが、新時代のホラークイーンと言っても過言ではないと思います。
ここまでやれる人って、ベアトリス・ダルぐらいしか他には居ないんじゃないでしょうかね。
前作もこの人やばいな・・・とは思ってはいたんですが、まさに本領発揮。
久しぶりに嫌なものを見た、と視聴後思いましたね(褒め言葉です)。
彼女をキャスティングした段階で、このシリーズは成功したも同然だったのかもしれません。
あと監督の功績は、この血まみれのスプラッタームービーをキッチュでレトロモダンに彩ったこと。
どうだい、しゃれてるだろ?って、言いたいのかタイ・ウエスト、お前ほんといいかげんにしろよ!と笑ってしまった。
ミアが出てる限り、最終作も水準以上のものになることは間違いないでしょう。
しかし、こういうことをしれっとやってしまうA24って、ほんとにもう・・・。
余談ですが、パールが斧振り上げて追いかけてくる場面はマジで怖すぎて後ずさった。
この俺様を怯えさせるのか・・・とあとあと変に感心してしまいました。