THE BATMAN ザ・バットマン

アメリカ 2022
監督 マット・リーブス
脚本 マット・リーブス、ピーター・クレイグ

若き日のブルース・ウェインを描く、何度目かの仕切り直しバットマン第一弾。

概報によると、あと2作続編が企画されてるらしいです。

実現するのかどうかはわかりませんが。

この作品もDCエクステンデッド・ユニバースに含まれるのかな?と思ってたんですが、どうも微妙に違うようで。

作品単体のクオリティを重視したDCユニバース一連の作品と考えるのが正しいみたい(起点となったのはフラッシュで、その次にジョーカーと続く)。

DCは社長交代劇があったりと、ドタバタ内紛が続いてましたからねえ。

差を開けられっぱなしだったマーベルに今度こそ追いつけ、ってなところなんでしょうか。

だからといってシリアスにすりゃあいいってもんでもない、と私は思うんですが、ジョーカーの成功に味をしめたのか、今回のバットマン、今までとは違うんだよ、とばかりにハードボイルド調。

完全に大人向けでサスペンスフルな仕上がりになってて、やはりこうきたか、って感じでしたね。

これ、バットマンさえ登場しなければ完全にシリアルキラーを追う男のミステリ調アクションですよ。

ビデオショップでセブン(1995)あたりと同じ棚に並んでいても全然おかしくない。

非常に見応えが合ったのは確か。

光度を落とした暗い色調の映像でじっくりと事件を追っていくんでね、途中で疲れちゃう人もいるかも知れませんけど、飽きさせないための派手な見せ場がところどころに設けられてるし、謎解きも悪くない、主演のロバート・パティンソンも思ってた以上に役柄にマッチしてて、想像してたよりマンネリ感はない。

なんせバットマンは役者を変えて幾度も映画化されてますからね、スパイダーマンと同じで「また蜘蛛に咬まれるところからやるの?」と幾分冷たい目でとらえてたものだから。

ただね、こうなってくるとバットマンの存在自体が浮いてくるな、と思わなくもなくて。

私自身がバットマンになんの思入れもなけりゃ、詳しくもないせいもあるんでしょうけど、シリアスになればなるほどバットマンが「おかしなコスプレ野郎(過去作でモブキャラに言われてたな)」に見えてくるんですよ。

もう、いっそのことブルース・ウェインのままで出しゃばったほうがいいんじゃないか?と思えてくるほどに。

バットマンの特殊技能がなけりゃ事件が解決しないのはわかってるんですけど、それでも物語がリアルすぎるがゆえの弊害か、スーパーヒーローというより、街の変わり者としか私の目にはうつらなくて。

あと、現実の合わせ鏡としてゴッサムシティを描くのはいいんですけど、無知ゆえに、誰がどこまでのことが出来て、テクノロジーがどれほど発達してるのかがわからず、少し戸惑った、というのはあった。

これは後出しジャンケンがあるかもしれないな、なんて思いながら見てるとやっぱり緊張感も薄れていくわけですよ。

176分という上映時間も悩ましいところ。

もう少しスピーディーに展開して2時間ぐらいで終わったほうが新シリーズの幕開けとしてはふさわしかったのでは、と思ったり。

肉厚で濃厚なドラマ性は評価されてしかるべきでしょうが、やはり国民性というか、バットマンにそれほど馴染んでない自分があからさまになったような気がしましたね。

だってさ、アメコミとかほとんど読んだことねえもん、ウルトラマンや仮面ライダーならともかく。

ま、ジャスティス・リーグ(2017)周辺のバットマン出演一連作に比べりゃ出来は雲泥の差なんで、否定的になるほどではないとは思うんですが。

多分続編ありきで作ってると思うんで、最後どこにも着地しなかった印象はあるんですが、どちらにせよ色んな意味でお腹いっぱいになることは間違いないです。

ちなみに余談ですが、キャットウーマンの頬っかむりがまるで昭和のこそ泥みたいだったぞ。

これはいかんだろ、笑わせてどうする。

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