アメリカ 2021
監督 ザック・スナイダー
脚本 ザック・スナイダー、シェイ・ハッテン、ジョビー・ハロルド
ゾンビウイルス(多分)の蔓延により、政府によって封鎖されたラスベガスを舞台に、金庫に眠る大金を手にするべく、チームを組んでゾンビの支配する街に乗り込む傭兵たちの活躍を描いたタイムリミットアクション。
驚いたことに、最近見た新感染半島(2020)とほぼ内容がかぶってます、この映画。
天下のザック・スナイダーが韓国映画をパクるとは思えないんで、おそらく偶然の一致なんでしょうけど、どうしようもなく残念なのはNetflixの潤沢な資金と、2時間28分もの上映時間を確保しながら、決して傑作とはいえない新感染半島にすらその面白さ、出来栄えが及んでないことでしょうね。
やってることはオーシャンズ11(2001)のゾンビ版みたいなものなんですけど、まー雑。
いや、そこはちゃんと背景描いておかないと駄目でしょ、みたいな部分が軽く片手以上はあるわ、キャラクターの作り込みが適当な人物は多いわ、後付けでストーリーに起伏をつけようとしてる節はあるわで、3人も脚本家が雁首揃えておきながらなんなんだこの体たらくは、って感じで。
致命的なのは主人公であるスコット(ディブ・バウティスタ)が愚鈍な大男にしか見えない点でしょうね。
どのようにすごい傭兵なのかもわからなければ、チームを束ねる資質があるようにも思えない。
せめてかっこよく見えるように撮ってやりゃいいものを、それすらもできてないときた。
WWE時代のほうがはるかにイカしてた、ってどういうことなんだ?!って話で。
またシナリオが本当にベタベタで。
親子愛(家族愛)と自己犠牲のヒロイズムを盛り込んどきゃなんとかなるっしょ、ってのが丸わかり。
オープニングから15分で最後の顛末まで予想がつく。
さらに最悪なのは、黒幕たる人物ブライ(真田広之)の謀略が陳腐な上、そのまま最後まで放置されちゃってること。
えっ、ブライはあんまり頭が良くない上に交渉のカードの切り方も知らなければ、効率化という概念も持ち合わせてないのか?と私はマジで思った。
絶対に最後の最後でなにかあるに違いない、と思ってたんだけど、なにもないんだもの。
そんな切り捨て方を誰が望んだ、と。
ゾンビに知性らしきものがある設定もねえ、どうなんだろう、って。
なんだか最初のゾンビを中心に王政を敷いてるみたいな風に描かれてるんですけどね、そうなってくると蟻にも似た社会性がある、ってことになっちゃうわけで。
もうウイルスとか感染症とか生ける屍とかと別次元の話になってきちゃいますからね。
ゾンビが宿主をコントロールする寄生体だとするならそれでもいいんだろうけど、なんの講釈もなしにゾンビの王がいる、と言われてもですね、悪い漫画の読み過ぎなのか?としか返しようがないわけで。
一応、ラストで小さな裏切りがあるんですけど、これも必要だったか?と思えるもので。
なんとか脱出できてよかったよかった、でいいじゃん、と。
おかしなペシミズムでお涙頂戴、になっちゃってるよ?と。
前々から思ってましたけど、ほんとザック・スナイダーはムラがある。
マン・オブ・スティール(2013)やウォッチメン(2009)は素晴らしい出来だ、と思ったんですけどね、バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生(2016)はクソみたいな映画でしたし、今回もしかり。
自分でわからないんですかね?この人。
せめて上映時間を2時間程度にブラシッシュアップするとかね、客観視できてたらやろうと思うはずなんですけどね、素人目に見ても無駄なシーン、結構多いし。
駄作。
ゾンビが好きなんだね、ということだけはわかりましたが、それ以上でも以下でもなし。