1981年初出 森脇真末味
小学館フラワーコミックス 全5巻
セミプロバンド「Sticker」の解散までの活動を、主人公でドラマーである八角の目線を通して描かれた音楽マンガ。
バンド活動を描いたマンガは数あれど、私の知る限りではこれほどリアルで真に迫ってる作品を他に読んだ記憶がありません。
それこそ「見てきたのか?」と思えるほど。
少しでも音楽にたずさわった人間なら私のいわんとすることはわかってもらえることと思います。
いや、これはね、実際にバンドをやったことがあるか、ローディーでも努めてない限り絶対描けません。
また登場人物が、出てくる奴片っ端からいかにもロックやってるような連中ばかりなんですよね。
いやもう本当にいるんですよ、こういう人達って。
今のインディーズのシーンがどうなってるのか知りませんが、少なくとも70年代後期~80年代の日本のアンダーグラウンドなシーンはこんなだった。
つまりは、バンド漫画として、その説得力が桁違いだ、ということ。
少女マンガ誌連載ながら男性を主人公としている、というのも独特だったと思いますね。
本来ならヒロインである尚子の恋愛模様を主題とすべきだった、と思うんです。
尚子、完全に刺身のツマですもん。
たまにしか出てこないばかりか、ほとんどにぎやかし状態。
テーマは集団競技であるバンド活動における、メンバー間の音楽に対峙する姿勢や、そこから生じるすれ違い、心の葛藤に置かれちゃってますから。
なんなんだこのままならない人間ドラマは、みたいな。
わかりすぎるほどわかるぞ、俺は、みたいな。
少女マンガである事を余裕で置いてけぼりにして傑作だと思いますね。
ひりつくように切実で、時代をそのまま切り取ったようなストーリーは性差を超えて訴えかけるものがあると思います。
女性漫画家らしからぬ力強い線、乙女な感傷によりかからぬ作劇も良い。
あたしゃ思い入れなしに読めないですね。
作者の美点が全て詰まった最高傑作にしてロック漫画の金字塔。
しかしなぜこの内容で「おんなのこ物語」?
コメント
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[…] おんなのこ物語の中尾やBLUE MOONの双子とからむ。 […]