デュエット

1984年初出 小池一夫/井上紀良
小池書院 全9巻

財閥の後継者である娘を守るために育てられた非合法活動のエキスパート鉄樹の、愛と戦いの日々を描いたクライムアクション。

バッサリやってしまうなら、後のヒット作クライングフリーマンとほぼ内容はかぶってます。

年代的に考えるならこちらが雛形だった、ということかも。

クライングフリーマンはクライングフリーマンで決して傑作とは言いがたい、と私は考えてますんで、その雛形ともなればもはや言わずもがな。

まず決定的に失敗してる、と私が思うのは根津財閥に関わる暗闘を描いた前半と、主人公が暗殺組織の長として活躍する後半が全く別物になってるように感じられることでしょうね。

そもそもこの展開なら序盤の根津財閥の話は全然必要ない。

むしろ鉄樹とヒロイン雪妃の後の道行きが前半の筋立て以上に危険をはらんでて意味不明、という矛盾すら併せ持つ。

やりたかったことはわかるんです。

死と隣り合わせの非現実的な日常における超絶な愛の形を描きたかったんでしょう、きっと。

でも、物語の出発点がそもそもおかしいから、それがどうしても伝わってこない。

なぜこんなことをやってるのか?この人たちは?としか映らない。

当時の読者もそれをうすうす感じていたのか、人気も伸び悩んだようで、結果途中で投げ出すように終了。 

失敗作でしょうね。

井上、小池の2人のコンビによる大当たりはやはりマッドブル34だけか、とあらためて認識した次第。

熱烈なファン向けですね。

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