0マン

1959年初出 手塚治虫

リスから進化したという設定の亜人種0マンと人類の、地球の支配権を巡る攻防を描いたSF巨編。

人間に拾われ、はからずも田手上博士と心を通わせる結果となった0マンリッキーは自分の種族と人類の間で板挟みとなって苦しむが・・というストーリー。

これでもかとばかり人類はどこまでも愚かに描かれており、同様に0マンの支配層も、進んだ科学技術を形にする明晰さを併せ持ちながら暗愚で、問題を解決する糸口が見えてこないままお話は進み、少年漫画にしては暗い内容、と言えるかも知れません。

物語の顛末も決して希望に満ちたものとはいえぬシニカルさですが、それゆえ先生が訴えたかったことが浮き彫りになっているのは確かです。

時代が時代なので何かと雑で安直な展開もありますが、これをハッピーエンドにしなかったのはさすが手塚先生、と思う。

枝葉末節は不揃いといえるかもしれませんが、物語の中心に据えられたものは現代でも通用するでしょうね。

結局、SFにおける異分子との共生って永遠のテーマなのかもしれません。

しかしまあそれにしてもリッキーはかわいい。

大きなしっぽが実にチャーミングです。

近くにいたらなでくりまわすと思う、ほんと。

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