ブルービートル

2023 アメリカ
監督 アンヘル・マヌエル・ソト
脚本 ギャレス・ダネット=アルコセル

シリーズ終幕が告知済みのDCエクステンデッド・ユニバースの第17作目。

このあとアクアマン/失われた王国(2024年1月現在公開中)でDCEUは一区切りなわけですが、悲しいぐらいに話題になってないですね、この作品。

何故なかったような扱いになってるのか、不思議だったんですが、調べてみたら国内ビデオスルーとのこと。

うわー、劇場公開されなかったのかー。

けっこうな制作費注ぎ込まれてると思うし、意欲的なキャスティングの野心作だと思うんですが、なんだかもう消化試合の敗戦投手みたいな扱いになっててほんとに哀れの一言。

これがせめて遅くとも5年前ならなあ、全く注目度も違ったと思うんですけどね、なんせ今やMCUの新作マーベルズ(2023)ですら記録的大惨敗を喫する有様ですからね、いやはやブームってのは怖い。

アベンジャーズ(2019)が最後の盛り上がりで、続くスパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021)にとどめを刺された気がします、私は。

以降はもう、何をやっても盛り上がらない空気感が蔓延してるというか、一夜にして突然みんなの熱がひいちゃったような、というか。

この先どうするんでしょうね、ジェームズ・ガンは。

ここからDCユニバースを復興していくのは生半可な事業じゃねえぞと。

アクアマンがあたればまだ希望はあると思うんですが、さて、どうなんだろ。

で、本作なんですけど、結論から言うなら決して悪くはないです。

低迷し続けた一時期のDCEUの一連の作品に比べればはるかに出来はいい。

ただ先述した通り、発表されるのがあまりにも遅すぎた。

なんかねえ、スパイダーマンとかあのあたりのマーベルヒーローを、2つ3つ無造作にチョイスしてまとめて一緒に煮込んだような仕上がりになってるんですよね。

既視感というか初めて見た感じのしなさ加減ときたらもう、半端じゃない。

ブームの只中ならまだのれた、と思うんです、でも今になってこれ、ってのはさすがにね。

同工異曲と言っていいのでは、とすら思いますね。

なんでアメコミのヒーローはどいつもこいつも普通なら死ぬはずの状況を超人化のプロセスに変えちゃえるわけ?と身もふたもないことを言いたくもなってくる。

当たり前のことを書くなら、スカラベ(エイリアンが小細工したらしいけど)に寄生されて超人になれるわけがなかろうが!と(ああ冷めてしまってるなあ、俺)。

テラフォーマーズ(2011~)の元ネタはここだったのかなあ、などとぼーっと考えたり。

なんだかもう出尽くした感じがあるなアメコミ、という印象を抱かせるんですよね。

超人の代わり映えしないデザインも、キャラクター性も、ありがちなネタ回しもうんざり、みたいな。

ただまあ、ブルービートル以外のキャラが思ったより頑張ってたんで。

おかげで最後までそれなりに見れたりはします。

とりあえずメキシコ貧困層の家族愛みたいなところに焦点を当てたのは決して悪くはなかったと思いますね。

どこかドタバタファミリーコメディ風でね。

切り口に目新しさがまるでなかったにせよ、だ。

特に終盤のばあちゃんのキャラは出色だったと思うんですが、それを活かしきれてないのが失態といえば失態か。

あとはヒロインの頭が悪すぎてドン引きした(多分制作側にそんなつもりはない)のが難点でしたが、ま、許容範囲内と言えなくはない。

おそらく続きが作られることはないだろうし、数年後にはマニアしか覚えてない状態なんでしょうが、なかったことにするのは可哀想かな、ってところですかね。

判官びいきじゃないけれど、バットマンVSスーパーマン(2016)なんかよりはるかに出来はいいです。

だからって今更どうにもならんし、何も覆らないのがこの作品の不幸ではあるんですけどね、うーん、残念。

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