M3GAN ミーガン

アメリカ 2023
監督 ジェラルド・ジョンストン
脚本 アケラ・クーパー

おもちゃメーカーが開発した自立型AI人形ミーガンの巻き起こす騒動を描いたサイコスリラー。

さて本作、公開されるやいなやアメリカ本国で初週41億円の興行収入をはじき出した大ヒット作なわけですが、まあその、なんていうんですかね、個人的には最大の見どころがすでにネタバレ状態(ダンス)で他にピークらしきものもなかったというか、なぜこれを既視感覚えずに素直な気持ちで受け入れられるのか疑問、というか。

チャイルド・プレイやアナベルとの相似はすでに指摘されており、数多の人形ホラーとの類似点も否定しないスタンスながら、でもミーガンはAIが制御するロボットだから違うよね、と強弁できてしまうのが、ああそうなんですね(遠い目)、すごいですね、としか言いようがなくって。

いや、不出来すぎるだろ、AIが、となぜ誰もつっこまないのか、という。

例え子守用とはいえ、こんなのが出回ったら大変ですよ、ここまでバグだらけでよく発売しようと思ったな!ってレベルですから、ほんとマジで。

早い話が鉄腕アトムでデイビッド(スピルバーグのA.I.に登場する少年そっくりのロボット)なわけですよ、ミーガンって。

学習能力というか、自分をアップデートすることにかけては、ひょっとするとアトムやデイビッドよりも高次な機械人形かもしれない。

そんな存在がですよ、ものすごくわかりやすい黒か白か、敵か味方かみたいな部分で躊躇なくタブーを破って強硬手段に出るんですよね。

お前には0か100しかねえのか!とつっこみたくなるような融通の効かなさぶり。

というか、相当に頭が悪い、ミーガン。

自分がやったことのリスクを勘定できない、といってもいい。

それこそ機械に悪霊がのりうつったのか?と疑いたくなるほどの愚かさで。

アトムやデイビッドでさえ、人の心の機微を知ろうとする行動にまずは出たというのに、ミーガンときたら邪魔者は排除ですからね。

せめて人あらざるものが命を推し量ろうとする行為ぐらい、描写してもよかったと思うんですけどね、結局、どこかで見たような類型の人形ホラーの着地点へと安易に誘導だもんなあ。

本当に申し訳ないんですが、私にはこの映画、面白いとは思えなかったですね。

ドラマ本編とも言える、研究者である叔母と、両親を亡くした子供(主人公)の心の交流を描くことに力を入れてるわけでもないし(重要だと思うんですよ、ここ。でないとエンディングに説得力がなくなる。子供はミーガンの味方をしても良かったわけだから)。

なんだろ、アニマトロニクスを駆使して撮影されたミーガンの「まるで生きているような」動きや、おかしな茶目っ気を楽しむことに注目するべきだったんでしょうかね。

ジェームズ・ワンが監督した近作、マリグナント(2021)には震え上がったんですけどね、トータルで見るなら、ことホラーに関してはジェームス、世間の高い評価より打率が低い気がしますね。

よくあるパターン、ありきたりの題材を思わぬ切り口、角度からひっくり返すのが得意な人だと思ってたんですが、今回は普通に鉄板ネタの使い回しな気がします。

ま、本作は監督請け負ってないから一概には言えないかもしれませんが。

つまるところ、ミーガンというキャラを作り上げたこと自体が秀逸だったのかもしれませんね。

多分、ミーガンは連作されるにつれ、チャッキー並みに有名になっていくでしょうし。

私は続編見るかどうかは微妙ですけど。

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