2022 スイス
監督 ヨハネス・ハートマン
脚本 サンドロ・クロプシュタイン、ヨハネス・ハートマン、グレゴリー・ビトマー、トレント・ハーガ
かの有名な児童文学の名作「アルプスの少女ハイジ」を、わざわざエログロバイオレンスに仕立て直したバカ映画。
宮崎駿がキャラクターデザインを担当した連続TVアニメを見ていた世代にとっては、まさに直撃と言っても良い狙いの見事さに「これを見ずに年を越せるか!」のレベルで期待値上がりまくりの一作だったわけですが、まあその、結論から言っちゃうと全然振り切ってない映画でございました。
なにが振り切ってないか?って、もちろんエロにもグロにもバイオレンスにも、ですね。
どの方面にも均等にポテンシャルが低い。
というか安っぽいし、チープだし、経験値のなさ、実力の無さを熱意や情熱でカバーしようとする意気込みもあまり感じられない。
クラウドファンディングで3億近い資金を集めようやく完成した自主制作映画みたいな立ち位置の作品ですが、どうなんでしょうね、資金を供出してくれた人たちにある程度のキックバックが可能なように過激さにも歯止めがかかった、ってことなんでしょうかね?わかんないけど。
どちらにせよ、せっかくの恰好な題材がこの程度の取り乱しっぷりでは出オチ、前フリが全てと言われても反論できないと思いますね。
ま、やはり最大のネックは笑えないこと、につきますかね。
なんせ家庭教師のトライのCMの方がまだ狂ってるな、と思えるレベルですから。
日本とは笑いの着眼点が違うのかもしれないけど、なにかとチーズにこだわってるのがまずよくわかりませんし。
事あるごとにチーズで攻めまくるのがそんなにおもしろいか?と。
日本のアニメをよく知ってる様子ながら、クララを上手に使いこなせてないのも気になった。
物語を追いながら、今ここで「クララが立った!」ってやらんかい!とつっこむこと数度。
B級カンフー映画さながらに、おかしな師匠との修行とか、肉親とのこれみよがしな別れをしらじらしく盛り込んでいるのにも興ざめ。
なんかね、すべてが平均値なんですよね。
いや、正確に言うなら、平均値と言う名の無難か。
そのくせして首から上が爆発するシーンだけは念入りに撮ってる、という気味の悪いスプラッターマニアのようなゲスっぷりが目立っていたりもして。
学生の手慰みかよ、って。
エグさにこだわるならこだわるで、全編徹底的にやってくれないと。
わざわざクラウドファンディングに頼ってまで制作したというのに、一体何に気を使ってるんだろう、と思いますね。
この内容ならもっと正気を疑うような演出があってもおかしくなかった、と思うんですが・・・残念。
監督は続編作る気満々なようですが、これなら私はロバート・ロドリゲスのマチェーテ・キルズ(2013)の続編、マチェーテ・キルズ・イン・スペースの方がよっぽど見たい。
福田雄一監督にやらせりゃよかったのに・・・と思ったりしましたね。