イギリス/アメリカ 2022
監督 スコット・マン
脚本 スコット・マン、ジョナサン・フランク

取り壊し予定にある地上600メートルのテレビ塔に、無許可で登った冒険系YOUTUBER二人組が、想定外のトラブルで降りられなくなってさあ大変、えっ、水も食料もないよ?私達死ぬの?マジで?ってなシチュエーションスリラー。
いわゆるオープンウォーター(2003)とか、近作じゃあロスト・バケーション(2016)とかと同系列の作品かと思うんですが、今作の場合、テレビ塔のてっぺんという絵が幾分目新しく感じられたのは確かですね。
いきなり話がそれるんですけどね、何を隠そう実は私、軽い高所恐怖症だ。
自宅のベランダから階下を見るだけでも怖いのに、ろくな足場もないテレビ塔の頂上って、映像(CG?)だとわかっていても足がすくむ。
よじ登ってるシーンを見てるだけで股間がスースーする。
なんせ私は寿命が尽きる日まで、絶対にロッククライミングとスキューバダイビングはやらない、と決めてる人間だ。
もうね、演出とかカメラーワークを考察する以前の問題として、地上のショットが一瞬写っただけで肝が冷えるわけですよ。
あはひゃひゃひゃ、おふっ、ほふふ、うくうっ、と謎の擬音が次から次へと口をついて出る有様。
マジで怖い。
そこいらのつまらんB級ホラーの数十倍は怖い。
気がつけば手のひらには汗がじっとり。
スリルと言う意味では、私にとって近年最上級の緊張感だったかもしれんな、とあとから思えてくるほど。
だめだ、全然冷静に見れてない。
なので、何を求めるかにもよるけど、問答無用で面白かったことは間違いないんですよ。
映画見ながらこれほどギャーギャー騒ぐことって、この年齢になるとほぼないですしね。
だからといって、以上です、感想終わり!とまとめてしまうわけにもいかんしなあ、と。
小学生の読書感想文じゃないんだし。
すごくたかくて、あぶないとおもいました。こわかったです。のぼってはいけないとおもいました、ってか。
やばい、相当に頭が悪い。
なのでまあ、なんとか伏し目な記憶を頼りに無理矢理書き進めるわけなんですけどね、とりあえず主人公二人組の絶望を煽る四面楚歌な状況の作り込みはしっかりしてた、と思いますね。
鉄板ではありますが、わずかな希望を次々と容赦なく潰してい冷酷さもいい。
見てる側が「なぜ◯◯しない!」とつっこむ隙を一切与えないんですよね。
ただね、あ、これは完全に匂わせにかかってるな、と種明かしを予想できるシークエンス(実際、想像したとおりだった)や、そりゃ都合良すぎるだろう、と思える進行が若干あって。
それがせっかくの恐怖に安っぽさを加味してる。
最後の賭けとなる起死回生のアイディアは、なるほどそうきたか、と少し感心したんですが、トータルで判断するなら優秀さと凡庸さの間を行ったり来たり、と言う感じでしょうか。
地上600メートルでするような話じゃねえだろ!と思わずつっこみたくなるような愛憎劇なんかもさらっと盛り込んであって、ドラマ的にも工夫されてていいと思うんですが、さて、高いところが全く怖くない人が見た場合、これ、どうなのか?ってのは正直よくわかりません。
高いところが怖いカップル二人でキャーキャー言いながら見るのが正解かも。
傑作!ってわけじゃないですが、よく出来た娯楽作なんじゃないかと思いますね。