アメリカ 2021
監督 ロバート・ローレンツ
脚本 ロバート・ローレンツ、クリス・チャールズ、ダニー・クラビッツ
元海兵隊狙撃兵の老人?が、偶然にも事件現場に出くわしてしまったことから見知らぬ少年をシカゴまで送り届けることになるガン・アクション。
似たようなプロットの作品でイーストウッドのクライ・マッチョ(2021)という作品が同時期に公開されてましたけど、制作側は気にしないんですかね?
普通なら「やばい、完全にかぶってる!」と慌てそうなものだけど。
しかも監督はイーストウッドのもとで研鑽を積んだロバート・ローレンツ。
人生の特等席(2012)以来、2本目の監督作らしいですが、ローレンツは「イーストウッドも少年送り届けてるよ!」と関係者に進言したりはしなかったんですかね?全く知らなかった、ってことはさすがにないだろうと思うんですが。
うーん、わからん。
双方の足を引っ張る結果にしかならんと思うんだが、アメリカ人は平気なんだろうか。
ま、微妙に内容はかぶってないと言う人もいるんでしょうが、傍から見たらわずかな差異ですしね。
大筋は同じだし。
クライ・マッチョが少年と老人の交流、主人公の心の安寧を探る旅を描いていたのに対し、本作はどっちかといえばいつものリーアムの「実は無敵だったオヤジ」路線を踏襲してるのが違いだ、といえば違いなんでしょうけど、そんなの同曲の別ヴァージョンみたいなものですし。
結局イーストウッドファンはクライ・マッチョを見りゃいいし、リーアムが好きな人はこっちを見ればいい、ってことなのかもしれません。
で、本作なんですけど、主人公があれこれと逡巡し、なにかと定まらない割には思ったほどドラマ性高くなくて。
少年との交流もどこか付け足しみたいな感じあり。
やはりリーアムをかっこよく撮る、リーアムに活躍させるという点に主眼をおいてる気がしますね。
そういう意味では色々とつっこみどころもあって。
終盤、元狙撃兵としての実力を発揮して悪人どもを血祭りにあげていくんですけど、これをあっさりやっちゃうと今まで散々逃げまどっていたのは何だったんだ、という話になるわけで。
遠距離から的確に狙撃できるんなら、危険を犯して旅する以前にさっさと全員片付けてしまわんかい!って思いますしね。
札束を全部燃やしてしまうシーンもそう。
20代ぐらいの小僧がやるんならわかるけど、大きな収入のない貧乏牧場主がそこまで思い切りがいいってのはあまりに現実味がない。
行為そのものがエンディングにつながってるってことなのかもしれませんけど。
通り一遍なスター映画にしないためのそれなりな工夫は見受けられますが、終わってみればなんか薄味だったって感じですかね。
子供とならず者?というと、私の場合どうしてもパーフェクトワールド(1993)を思い出してしまうんで、見る前からハードルあげすぎてるのかもしれません。
あ、よく考えたらパーフェクトワールドもイーストウッドだった。
だから、同じ時期に公開はやめておけ、とあれほど・・・(再び冒頭へと話は戻る)。