ファイナル・プラン

2021 アメリカ
監督 マーク・ウィリアムズ
脚本 マーク・ウィリアムズ、スティーブ・オルリッチ

全米のあらゆる銀行に押し入り爆破強盗を繰り返してきた伝説の犯罪者(リーアム・ニーソン)が、ある女に惚れてしまったことにより、足を洗おうとするも、司法取引に失敗して(騙されて)窮地に追いやられてしまうお話。

おなじみ定番の、リーアム・ニーソン老骨なんのその大活劇なわけですが、これまでとなにか違うのか?と問われて、いや特に違わない、と答えるしかないのが今回もお疲れ様でした、というかまだ続くのか?この路線?と少し怖くなってくるというか(だって本人、もう69歳ですよ?)。

ことリーアム・ニーソン主演作に限っていうなら、もう、96時間以降は人物設定を違えた連続テレビドラマ状態ですね。

毛色の違う作品が全く無かった、とまでは言いませんが、おおむね遠山の金さんや暴れん坊将軍(かつて日本で人気を博したテレビ時代劇)とほぼ構造は同じ気がする。

身の上は隠していたが本当はすごい人だった、みたいな種明かしでもって最後に悪党どもを成敗して一件落着、の鉄板なマンネリズムが安心して見ていられて心地よい、みたいな。

そういう意味では今作もファンのニーズには忠実に答えているのかもしれませんけど、やっぱりどうあがいたところでね、年々リーアム・ニーソンも老いていくわけですから。

10年前なら通用していたであろう役柄も、だんだん見ててきつくなってくるわけですよ。

そもそも連続爆破強盗をこの年になるまで続けてる、ってこと自体が相当にイカれてるって話であって。

作中の年齢をいくつに設定してるのかわかりませんけどね、たとえ50歳だったとしてもそうは見えない容姿、立ち居振る舞いに「ほころび」を感じてしまうわけだ。

しかも最後の恋が引退を決意させた、って、孫が結婚しててもおかしくない年齢なのにまだ色恋沙汰に血道を上げてるわけ?あんたは?と思ってしまうわけだ。

理想の相手に気づくのが遅すぎ、というか、女に免疫がなさすぎ、というか。

で、ヒロインがこれまた変わった人物で。

酸いも甘いも噛み分けた中年女性なのにもかかわらず、ボニー&クライドかよ!ってレベルで銀行強盗な男を受け入れて逃避行なんですよね。

恋にうつつを抜かすのにも限度があるだろう、と。

どう考えても最大級の事故物件じゃねえかよ、って。

FBIに追われてるじじいに無償の愛を注ぐだなんて、マザーテレサでも二の足を踏むわ!って。

物語のスケール自体がこじんまりとしてるのも気になった。

中盤以降、主人公はFBIの悪徳警官に逆襲へと転じるんですが、爆破の専門家ができることって、どうしても限られてて。

知恵と経験則で戦うには、なにかと手段が回りくどすぎて、いちいち無駄なプロセスを踏んでるようにしか思えない。

やってることが承認欲求の強い愉快犯に酷似してるんですよね、結果的に。

ぶん殴って監禁でもしたほうがよっぽど早えじゃねえかよ、と。

とかく茶番なんですよね。

いやね、リーアム・ニーソンの実年齢はいったん忘れて!ってことなんだと思いますよ、そりゃわかってんだ、わかってんだけど、これがジェイソン・ステイサム主演ならまだ違和感も少なかったろうになあ・・・などと一度でも考えちゃうともう駄目。

キャスティング及び爆破の専門家を主役にしたことが失敗だったかと。

もう少し69歳に見合った役があっただろう、と思うんですけど、もう止まれないんだろうなあ、きっと。

これ、何度も書いてる気がするな。

ま、上述したテレビ時代劇の論理で考えるなら、メインの視聴者層の多くが鬼籍に入りでもしない限り永遠と続くんでしょうし、これが正解なんでしょうけどね。

個人的には色恋や暴力沙汰は若手に任せて、もういい加減枯れた役柄で、と思うんですが、シルベスター・スタローンがエクスペンダブルズ・シリーズで主役を張り続けてるような国ではきっと無理なんだろうなあ。

我々はリーアム・ニーソンが壊れてしまうまで彼のアクションに付き合うしかないのかもしれません。

それが残酷なことなのか、幸福だったのか、広義に定説化するのもそう遠い日ではないように思いますね。

あ、リーアム・ニーソンの件を抜きにするならシナリオは思ったより練られてました。

悪役が上手に立ち回ってましたね。

最後にアレなんですけど。

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