アメリカ 2020
監督 北村龍平
脚本 リオール・シャフェッツ
華奢なサービス業の姉ちゃんかと思いきや、実は元海兵隊で荒事のエキスパートだった、という種明かしがあまりにも既視感たっぷりで眩しすぎる無敵の女ヒロインもの。
北村龍平じゃなきゃ間違いなく見てなかった一作ですが、見終わってまず私が再確認したのはエンドロールのクレジットでしたね。
えっ?北村龍平だよね?監督は?みたいな。
もう結論から書いてしまいますけど、つまらないぞ、この映画、いやマジで。
まず私が最初に引っかかったのは、主人公であるアリが高級マンションでドアマンとして再就職するくだりでして。
マンションでドアマンって、海外じゃあ普通のことなのかもしれないですけど、管理人業務と何が違うの?と私は思うわけで(知らないけど)。
とりあえず自分が住んでる集合住宅のドアぐらい、自分で開けろ、って話だ。
なんだかお飾りっぽい職業に思えて仕方ないんですよね。
しいてはそこにプロフェッショナリズムが感じられない。
なので顔見知りの住人が強盗に襲われたから体を張って助けなゃ、と使命感に燃えるアリの強い正義感がどうにも動機として弱く感じられてしまう。
まずは自分が脱出、そして通報でしょうが、と。
これがホテルのドアマンや従業員ならお客様の安全を考えて行動する理由も理解できる。
そういう教育を受ける職業ですし。
つーかなんで舞台をホテルにしなかったんだ?と。
マンションの管理人がダイハードよろしく、単身、命がけで悪党どもに挑む、ってどう考えても違和感があるように思うんですよね。
アリのつらい過去や、住人との関係性が彼女に行動を決意させたように描かれてますが、舞台設定にちぐはぐなものを感じてしまう。
強盗のとの丁々発止なやりとりや、アクションシーンも工夫がたりない。
北村らしいカメラワークは健在でしたけどね、細かいカット割りや暗所でのシーンの多さがカタルシスに直結しないんですよね。
早い話がなにをドタバタやってるのか、よくわからない場面が多くて。
久しぶりに見たジャン・レノも座って悪態ついてるだけで全然矢面に立とうとしないしなあ。
伊藤英明に至ってはもう完全に端役。
驚くぐらい印象に残らない。
友情出演かよ、って。
シナリオ進行にも何ら特筆すべき点はなし。
一切の裏切りや予想外のドラマもないままわかりやすい場所に着地。
いやもうびっくりしましたね、私は。
何だこの凡庸さは、と。
このシチュエーションならザ・レイド(2011)みたいな滅茶苦茶をやらかす手もあったと思うんですけど、どの方面にも突出することなく平均点だもんなあ。
うーん、枯れてしまったか北村龍平。
まだまだこじんまりとまとまるには早い、と思うんですけどね、ミッドナイト・ミート・トレイン(2008)以降の作品がまるで印象に残っていない現状を鑑みるに、なにか欠落しちゃったか、変にブレーキ踏んでるのでは?と思えてなりません。