2020 アメリカ
監督、脚本 ブライアン・ベルティノ
父の最後を看取るために帰郷した姉弟を襲う、不可解な怪異を描いたホラー。
同年に制作されたオーストラリアの作品でレリックってのがあるんですが、プロットも筋立ても非常によく似てます。
で、もう結論から書いてしまいますけど、レリックのほうが良く練られてて完成度も上回っており、本作、完全に出し抜かれた格好となってます(興行成績がどうだったのかはわかりませんが)。
多分、事前にわかってたら制作中止してたんじゃないですかね。
かほどに出来栄えは段違い。
だからあれほど作る前にリサーチしろ、と。
言ってないね、うん。
結局この映画の何が駄目って、最後に種明かししなかったことがひどく消化不良に感じられることにあって。
そりゃ想像はつきますよ、これだけヒントをばらまかれたらね、また怪異の正体を明らかにしないことで恐怖そのものに焦点を当て、少しづつ壊れていく姉弟の内面を照らし出したかったのもわかる、けどね、さんざん引っ張った挙げ句、ひたすら思わせぶりだったくせにオチがないのかよ!と思うのが普通の観客の心情だと思うんですよ。
いや、リアルに悪魔憑きを疑われる現場なんてこんなものだよ、真実なんて誰にもわからない、とでも言いたかったのかもしれませんが、それを超えてくるのが創作の強みであり、想像力のスケールでしょうが、と。
登場人物たちがオタオタするだけで終わってどうする、と。
発想の貧困さを不可解な事象の羅列と恐怖演出だけで誤魔化そうとしても、みんなすぐに見破る、って話。
なんか宗教的な背景とかひょっとしたらあるのかもしれませんが、悪いけど探ってやる気にもならないですね、そもそも無神論者だし、私は(ひどい言い草ですまん)。
場面場面でうわっ、こりゃ怖いわ、と思う瞬間もあったんで、決して技量がおぼつかないってわけじゃないと思うんですが、やっぱりこれは肩透かしだよなあ、って。
ま、ホラーとしてそれなりに雰囲気はあったんでね、機会があるなら次がんばってください、といったところですかね。
とりあえず監督はレリック見といたほうが良いですね。
私だったら多分悔しすぎて歯ぎしりの末、奥歯が粉々になる。
想像力の翼を羽ばたかせる、及び想像の余地を残すってのはこういうことだときっとわかるはず。