イギリス/スペイン/リトアニア 2020
監督、脚本 リアム・オドネル
シリーズ3作目にして完結編、スカイラインシリーズ有終の美を飾る一作。
しかしまあ、有象無象なSFとしか言いようのなかった一作目からよくぞここまで辿りつけたなあ、と。
他と比べて突出した内容、ってわけでもなかったですしね。
監督のリアム・オドネルの熱意には頭が下がらんばかりだ。
二作目が起爆剤になったことは間違いないですね。
こんな無茶苦茶をやらかされた日には「3作目もなにかあるのでは・・・」と、どうしたって期待してしまう。
大資本なブロックバスター映画じゃ絶対にやらないデタラメを、本気でやってるのがこのシリーズの美点であって。
「こういうのが好きなやつは絶対いるはずなんだよ」と確信する監督の揺るがぬ信念こそが魅力なのは間違いない。
なので脚本の細かな齟齬や、ストーリー展開の都合の良さに目くじらを立てても仕方がないわけです。
今回は何を見せてくれるんだ、オドネルよ!とワクワクが止まらない人向けのジャンル映画と言ってもいい。
なので作中でいきなり15年が経過してて、さあ今度は他天体へ行きますよ、と言われても驚いたりはしないわけだ。
すまん、嘘だ。
ちょっとびっくりした。
いや、予算は大丈夫なのか?と(大きなお世話だね、うん)。
しかし一作目で侵略SF、二作目でアクション(カンフー?)SF、三作目で宇宙冒険SFへと駒を進めるとは、もう全部やるよオレは!と言わんばかりの大食漢ぶりだ。
本当に欲張りなんだからこの子は!みたいな(親かよ)。
でね、これがさほど悪くはないんですよ。
なんだか既視感たっぷりなシーンの目白押しではあるんですけどね、少なくとも「こんなもんでいいじゃない?」みたいな安普請の手抜き工事感は見受けられない。
徹底して本気ですから。
パクリと言ってしまえばそれまでなのかもしれないですけど、観客がこの手の冒険SFに何を求めてるのか、監督はファン気質なレベルで理解してるといっていい。
あ、そうそう前作で披露したエイリアンVSカンフーもちゃんと盛り込んでおかなきゃ!といった念の入れようですから。
完全に中2病をこじらせてる深刻さは少し心配だったりはするんですけどね、普通にかっこいいと思える構図や絵面が連続するものだから、難癖つける以前に一人で盛り上がってる自分が居る有様で。
B級、と言われて否定はできないですよ、でもこれをつまらん、という人とはSFアクションの話はできんぞ、と。
だってね、暴論ぶちかますなら、御大リドリー・スコットが撮ったエイリアン:コヴェナント(2017)とこの作品、それほど大きな違いがありますか?と。
やってることはプロットの段階であんまり大きな差異ないですしね。
自己模倣の末に焼き直しでお茶を濁した大作と、常に野心的で同じことを二度やらない低予算映画、伝わってくるものはどちらのほうがたくさんありますか?って。
むしろ徹底したエンターティメントと言う意味ではこちらに軍配があがるかもしれない、とすら私は思います。
最近、この手のSF見てなかったんで、いささか褒めすぎかもしれないですけど、私は監督の作品に対する思い入れに共感できたんで最後まで楽しめましたね。
ま、大笑いするのもありといえばありだ。
快作だと思います。
意外とマーベルのファンなんかもいける一作かも。