イギリス/中国/カナダ/シンガポール/インドネシア/アメリカ 2017
監督、脚本 リアム・オドネル
まさかまさかの7年越しの続編。
関係者も本当に続編が作れるとは思ってなかったんじゃないでしょうか。
監督は前作で脚本を努めたリアム・オドネル。
いやいや大丈夫か?と。
前作が凡庸だったのは主に脚本のせいだぞ、と。
監督に抜擢されたところで、前作の何がダメだったのか、ちゃんと理解してなきゃ同じ轍を踏むことになるぞ、と。
見る前から不安でいっぱいだった私なんですが、それでもあえてこの作品を見ようと思ったのは、ひとえにイコ・ウワイスが出演していたからにほかなりません。
侵略SFにイコ・ウワイス?
ザ・レイド(2011)でその名を全世界に轟かせたアクションスターのニューカマーがSF映画でいったいどういう役回りを演じるんだ?と。
これって、言うなればクローバー・フィールド(2008)にトニー・ジャーが出演するようなものですよ。
噛み合うわけがない。
いったいどう料理してるのか、気になって仕方なかったんですよね。
えー結論から先に言っちゃいましょう。
マジで驚きました。
正直、監督は大馬鹿野郎だと思いました。
けれど、少なくとも侵略SFというジャンルにおいて、シラット(東洋の伝統武術)の達人と、凶暴極まるエイリアンを真正面から戦わせてクライマックスとする、なんてことをやらかした監督は過去に一人も居なかったであろうことは間違いない。
エイリアンmeetsカンフーとでもいえばわかりやすいでしょうか。
あたしゃもうバカ笑いが止まらなかった。
だってイコ・ウワイス、エイリアンの側頭部に本気でハイキックきめてたりするんですよ。
プレデター(1987)でさえ、ここまで無茶はやらなかったと思う。
荒唐無稽といえばこれ以上の荒唐無稽はないわけですが、こんな絵、見たことない!と私は舌を巻いちゃったんですよね。
また、あれほど強かったエイリアンをイコ・ウワイス、圧倒してるし。
まさかあの前作からこういう方向へ舵を切るとは、全く予想すらしてませんでしたね。
間違いなく怪作でしょう。
けれど侵略SFとして箸も棒にもひっかからなかった前作をこういう形で巻き返してきた、という意味においては意外性の塊だったように思います。
前作での謎をすべて明らかにした上で舞台をラオスに移し、ベトナム戦争の影なんかもチラつかせながら、最終的には共生をもほのめかすシナリオも、かつてとは見違えるよう。
決して一流の仕事、ってわけじゃないですよ、雑なところもありますしね。
でも映画見てて「やられた!」と思うのは、こういう作品に出会った時だと思うんですよね。
最高のB級SFだと思いますね。
思いついても普通はやらないであろうことを、本気で形にしちゃうバカさ加減が私は好きですね。