宇宙かける純情

1988~2015年初出 駕籠真太郎
久保書店

<収録短編>
宇宙大戦争
未来日記
プラシボ
凸の世界
大侵略
万事良好
万事太平
花咲ける純情
駅前発掘
呪いのワラ人形家業
なぜなに宇宙戦争の巻
ペットシート

屋根裏の散歩

コットンコミックからヤングジャンプ、アックス、成人誌にいたるまで、雑多な漫画雑誌に掲載されたSF系の短編を集めたもの。

別の単行本に収録されてた短編もかぶってるみたいですが、私が購入した作者の単行本って、ハンニャハラミタ(1994~)とフラクション(2009)だけなんで、どの作品がかぶってるのかはさっぱりわからず。

で、SF好きとして期待するのは、やはりハンニャハラミタに収録されてた「仰ゲバ尊し」なわけですよ。

話題にはなってないけど、こっそり凄いことやってるんじゃねえか?と。

なんせSFセレクションですから。

家畜人ヤプー(1956)みたいな例もあることですしね。

エログロとSFが相性悪い、ってことはないでしょうし、この分野でしか表現できないものもきっとあることだろう、と。

そしたら、だ。

割と期待して読み進めていったんですけどね、まー、見事に全作私のアンテナにはひっかかりませんでしたね。

もう辛辣に言っちゃいますけど、どの短編もどこかで読んだようなアイディア、ネタばかりで。

さらに最悪なのは、展開やオチに困るとお得意のエログロに逃げちゃってること。

エログロで強烈な個性を発揮した人だということはわかってるんですけどね、それがSFを紡いでいく上で都合の良い避難場所になってるのは座組みが違う、と思うわけですよ。

良く言うなら鉄板のオリジナリティなんでしょうけど、未踏のSFを期待して読む立場からすれば「またこれか」ってなもの。

寄せ集め的な内容の単行本ですんで、そこまでハードルあげて期待すること自体が間違ってるのかもしれませんけど、なんとなくね「もういいか・・」という気分になった一冊でしたね。

画力の高い漫画家だと思うんで、もったいない、と思ったりもするんですが、このままエログロ路線をひたすら突き進むならもう手に取ることはないでしょう。

猟奇もアングラも同じ出し物が続くようだと、さっぱりいかがわしく思えなくなる、を地で行ってる気がしますね。

だからこそ永遠のカルトなのかもしれませんが。

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