ハルはめぐりて

2015年初出 森泉岳土
エンターブレインビームコミックス

祈りと署名(2011)に収録されていた短編「ハルはきにけり」の続編みたいなもの。

祈りと署名では小学生だった主人公ハルが中学生に成長して、見知らぬ街を一人旅する、といった内容。

ベトナム編、台湾編、モンゴル編、銀山温泉編と章立てされており、一話4ページほどの掌編を連作する形式となってます。

ま、はっきりいってオチもなければストーリーもないんで、限りなくエッセイマンガに近いと言うか、お出かけ備忘録みたいな按配ですね。

作者はバックパッカーとして各国を旅した経験があるみたいなんで、その思い出をハルを通して語らせてるんじゃないかな、と思います。

一応、それなりの異国情緒は香りますし、はっ、とする作画もあるんですけどね、じゃあ面白いのか?と問われるとこれが微妙なところでして。

「へえ、そうなんだ」で終わっちゃう傾向にあることは否定できません。

ここから想像を膨らませていく人もきっといるんでしょうけど、私は旅行記なら、強く異文化を感じさせてくれる、生々しいデティールにこだわったものが好きなんで、ちょっと物足りなかったですね。

どっちかというと作者のあとがきの方が読み応えあるように感じたり。

いや、そりゃ駄目だろ、って。

熱心なファン向きかも。

あえて暗がりをまさぐらず、傍観者的に風景を切り取る作風は詩情あふれてて親しみやすいかもしれませんけどね。

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