ハンニャハラミタ

1994~2005年初出 駕籠真太郎
集英社ヤングジャンプコミックス

<収録短編>
仰ゲバ尊し
DEMON SEED
ハンニャハラミタ
動物の王国
atraxia
飛んで目に入る夏の虫
尻尾考

エログロカルト漫画家として有名な作者の、SF系の作品を集めた短編集。

各作品の発表年に10年近い開きがあるんで、初期の短編はまるで別人な絵柄でちょっととっつきにくいです。

総じて90年代に発表されたものは、中途半端にSFであり、ややコメディタッチであり、かつて東京三世社で定期的に刊行されてた「少年少女SFマンガ競作大全集」系の漫画と非常に近い匂いがします。

懐かしいといえば懐かしいんですが、正直な話、今通用するような代物じゃない、と思ったりも。

まあ、辛辣に評してしまうならどの作品もガジェット頼りでオチがゆるいです。

発想は悪くないんですけどね。

そんな中で唯一私が突出しているな、と思ったのは「仰ゲバ尊し」で、永遠に卒業できない小学校というアイディアはなかなかシュールで面白かったように思います。

あっと驚くラストシーンも秀逸。

ふざけた虚構世界をもっともらしく肉付けしたユーモアSFとか好きな人ははまるんじゃないですかね。

こういうのが描けるんならもっと量産してほしい、と思うんですが、ご本人はきっと狂ったエログロやってるほうが楽しいんでしょうね。

駕籠真太郎はこんなこともできるんだ、と言うのは発見でしたが、仰ゲバ尊し一編のためだけにこの単行本をおすすめしていいものなのかどうかは悩むところ。

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