2009年初版 駕籠真太郎
コアマガジン
あのエログロ猟奇漫画家の駕籠真太郎がミステリを描いた、と聞いて読んでみた一冊。
こういっちゃあなんですが、まともな漫画を描くのはハンニャハラミタ以来じゃないのか?などと興味深くページをめくってみたんですが、いや、驚いた。
普通に連続殺人犯の壊れた内面を追った推理ものじゃないか、と。
しかもメタな手法を用いて叙述トリックにまで挑もうとしてる。
なんだ、やれるんじゃない、やろうと思えば、と興奮。
こりゃひょっとしてカルト漫画家の知られざる傑作なんじゃないのか、とストーリーが進むにつれて俄然テンションもあがってきたりしたわけですが、ああ。
ああ。
もう一度書いとく、ああ。
いやね、肝心の謎解きとかいうかオチがね・・・。
そりゃ作者らしい、といえばこれほど作者らしいオチはないと思いますよ。
揺るがぬアイデンティティとでもいいますか。
でもそこは裏切ってくれなきゃダメだろうと。
従来のファン以外にアピールしたいがためのミステリじゃなかったのかよ、と。
ま、駕籠ファンは喝采でしょうね。
けどね、私に言わせりゃこんなの少し目鼻立ちを変えただけの、いつものエログロですよ。
もはやあえて自分を嘲笑う自虐コメディと言ってもいいかもしれない。
仕掛けが念入りだっただけに、なおのことイラッとしましたね。
うーん、カルトは所詮、永遠にカルトなのかも。
そんなことをぼんやり思ったりもしました。