ユージュアル・サスペクツ

アメリカ 1995
監督 ブライアン・シンガー
脚本 クリストファー・マッカリー

五人の前科者の犯罪計画の顛末を、驚きのオチで結んでみせたクライムサスペンス。

ああ、そういえばブライアン・シンガーの出世作として有名なこの一作、見てなかったわ、なんでスルーしてたんだろ?遅ればせながら見てみよう、と手に取ったのが数日前。

でまあ、最後まで見たんですけど、いや、びっくりした。

・・・・見てたわ、この映画。

見終わって思い出した。

厳密に言うと、エンドロールが流れ出す15分ぐらい前に、妙な違和感を感じだして。

あれ?こいつが実は真犯人じゃなかったかな・・・って。

取調室でのシーン、警部は間違えてるよね、違う人間を犯人だと思ってるよね?って、なぜか確信できて、実際その通りだった。

そしてラストシーンで疑う余地なく、あ、見てるぞ、これ!って膝を打つ。

・・・・面白味、まるでなし。

最期のどんでん返しがこの映画の肝なだけに。

で、なんでこんなことになってるのか、というと、率直にいうなら、最期のどんでん返しが鮮烈だっただけでね、他がさほど面白いわけでもなかったから、だと思うんですよ。

自慢じゃないけど一度見た映画は99%の確率で覚えてる方なんで。

さすがにね、あまりにも印象に残らない映画は残り1%の確率で忘れちゃうんですけど、うーん、この映画が1%の方に入っちゃったか、と。

あんまり好みじゃない、というのはあったと思うんです。

若き日のベニチオ・デル・トロとケビン・スペイシーぐらいしか有名な俳優さん出てないですし、登場人物のキャラクターが立ってるってわけでもないですし、なによりもね、どこか地味に感じられるのがその要因だったのかも。

こういう犯罪映画って、徹底的にシリアスにやっちゃうのも手段なんでしょうけど、私はやっぱり台詞回しにユーモアがあって、遊び心なんかもあるタランティーノやガイ・リッチーみたいなタイプが好きなんで。

真面目かよ、って。

犯罪映画に「真面目」って、矛盾するようですけど。

ま、要するに登場人物に犯罪者ならではの滑稽味やアンチなかっこよさがないんですよね(弁護士はいいキャラでしたが)。

別にこいつらがどうなろうとどうでもいい、というか。

あと、観客をミスリードしておきながら、最期の種明かしののち、実はこういうことだったんですよ、と映像で検証しないのがなんか気持ち悪い。

えっ、じゃああの場面、真犯人はどう行動してたの?ってのが全部こっちの想像で補うしかないんですよね。

えっ、無理やん、と思えるようなシーンもあって。

これを不適切というべきなのかどうかはわからないんですが、放置かよ、と思わなくもなくて。

うーん、評判ほどに私はこの映画、評価できないですね。

真犯人役の役者さんが思いのほか名演で、強烈なインパクトを残してたことだけが収穫だったかと。

犯罪映画を匂わせておきながら、まるで別の物語へとすり替わっていく展開は悪くないと思うんですけどね。

ま、あんまりハードル上げすぎないほうがいい、とだけ。

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