アメリカ 1990
監督 ブライアン・デ・パルマ
原作 トム・ウルフ
アメリカでベストセラーになったトムウルフの小説の映画化。
原作を滅茶苦茶にした、と本国では酷評の嵐だったそうですが、小説そのものを読んでないのでそのあたり、さっぱりわかりません。
とりあえずキャストはすごいです。
ブルース・ウィリスにトム・ハンクスにメラニー・グリフィス、ときた。
いかにもハリウッド大作、ってな感じですが、肝心の中味も、作家性より話題性を念頭に置いた王道を行く作り、といっていいのではないでしょうか。
広く万人にアピールできるものを心がけました、って感じ。
とはいえそれなりに緊張感はありますし、オープニングの長回しは、ならではだ、と思ったりもするんですが、なんといいますか、デパルマなのにあまりに真っ当でさっぱりいかがわしくないってのが、私にはどうしても退屈。
とりあえずトム・ハンクス、ウォール街のエリートトレーダーのくせにメンタル弱すぎです。
メラニー・グリフィスのお色気攻撃ですら、なんだか娼婦風に見えてしまうのはどういうわけか。
シリアスさが意図しない部分でコメディ化しちゃってるような気もしました。
私が一番冷めたのはエンディング、モーガン・フリーマンの独白。
とても黒人街であまたの犯罪を裁いてきた判事とは思えぬ優等生な説教に、ああ、こういう落とし所で感動させたかったわけね、とテンション急下降。
現実に即したトラブルを描きながら、結末が全然現実的じゃないというファンタジックな有様に、ためいきひとつ。
うーん、私は肌があいません。
これまで見たデパルマの映画の中では一番しらけてしまった作品かも。