2022 インド
監督、脚本 S・S・ラージャマウリ
インド本国で10億円を超える興行収入を稼ぎ出し、日本国内でも異例のロングランヒットとなったアクション大作ですが、ああ、やっぱりこういう路線なのね、と半分脱力。
というか、これ、間違いなく笑わせにかかってきてるよね?思うわけですよ私は、監督の意図は多分違うんだろうけど。
いや、笑ってしまうだろ、どう考えても。
だってね、髭面のむくつけきオッサン二人が(若いのかもしれないけど)任侠映画ばりの熱い義理人情(まあ、友情なんでしょうけどね)にどっぷりと酔いながら、二人して悪辣な権力者を殲滅せしめんとする話ですよ?
60年代~70年代の東映かよ、って。
サブちゃんの兄弟仁義なのか?と。
♪ 俺の目を見ろ~ ♪ なんにもいうううな~~ なのか?って話ですよ。
おっそろしく古い題目なのは確かだし、これを真面目に見るとか正気じゃ無理。
まだ「実は主人公二人はお互いに密かな恋心を抱いていた。早すぎたボーイズラブだった」みたいな方向のほうがよほど現代に即していて納得がいく。
それはそれで最後まで見れる自信はないけどな。
つーかね、これが売れるんなら、さして注目されずに消えていった多くの香港映画を改めて再評価してやれよ、って思いますね。
やってることはあまたの香港カンフー映画と全然違わないですしね。
相変わらずジャッキー・チェンの映画見てる人とか、絶対に刺さると思いますし。
ま、ヒーローをヒーローたらしめんとする大仰極まる演出や、1ミリの照れもない威風堂々な語り口は評価していいと思います。
なにもかもが半端ない熱量なのは認める。
あと、カンフー・ハッスル(2004)的に、CGだろうとなんだろうと使えるものは全部使ってとにかく戦闘シーンを派手に、と心がけたのは正解だったかもしれない。
特に終盤の二人羽織(詳しくは書きません)とか、人間ができることじゃないですからね。
映像マジックありきのデタラメさが、見たこともない絵、あり得ない場面を現出させていたことは確か。
呆れるのを通り越して、あっけにとられちゃうんですよね。
これを本気で絵にしようと誰が思うよ?!と。
こんなのアストロ球団(漫画)でしか見たことないですよ、私は。
ビッグバジェットのバカ映画、というのが私の結論。
嫌いなわけでも否定してるわけでもないですが、あんまり過大に評価しすぎるのもどうかな、ってところでしょうか。
至極真面目に本気でバカやってる恐ろしいやつがいる、ぐらいでちょうどいいと思いますね。
しかしS・S・ラージャマウリは全然変わらんな。
バーフバリ(2015)をそのまま進化させてるようにも思うんですが、きっとそれがヒットの方程式だと知ってるんでしょうね。
うーん、裁き(2014)みたいなインド映画もあるんだよ、とちょっと声を大にしたい気分だったりはしますね。