2002年初版 押井守/大野安之
角川書店
原作、押井守。
90年代前半に雑誌を変え転々と連載していたシリーズを、角川が完全版として復刊したものらしいです。
元々は日本文芸社から単行本が発売されてたとか。
内乱により、分断されてしまった日本の内戦状態を描いた戦争コメディなんですけど、とりあえず大野安之らしくないです。
押井色濃厚というか、きちんと計算された隙のない物語の骨格が、作者の野放図なおもしろさを殺しちゃってるのは確か。
映像だったらおもしろいかも、と思わせるものはあるんです。
けれど映像化するならこの絵柄じゃないだろ、と思うし、なによりほぼ作画屋に徹しちゃってるのが作者のファンとしちゃあ、面白くない。
どういう意図があって押井がこれをマンガでやろうと思ったのかわからないんですが、あたしゃ特にミリタリーマニアでも仮想戦史ファンでもないのであんまり集中できなかったですね。
悪くはないと思うんですけど、特定のターゲット向けの作品だと思います。
どことなく大友克洋の気分はもう戦争(1981~)を思い出したり。
つまるところ、物語の根っこにあるのは「青春もの」だったりはするんですけど、今あえてこの漫画を読もうと思う人って、おそらく大野安之のことは知らないと思いますね。
異色のタッグによる1冊と言う意味では、希少価値ありかもしれませんが。
ちなみに映画にもなった「西部戦線異状なし」のパロディではないです。
タイトルだけもじってるみたいですね。