SCENE

1988年初版 大野安之
笠倉出版社

まあ、率直に言って箸にも棒にもひっかからん1冊というか。

80年代に大繁殖したロリコンブームの残滓に触れているような気分になりましたね。

簡単に言っちゃうなら、ストーリー性がありそうで実はなにもないエロ漫画。

一風、エロ漫画じゃないのかな?と小首をかしげそうになるんですけど、読み終わってみればやっぱりこれエロ漫画だよなあ、みたいな。

エロスにあまり重点置いてない森山塔(山本直樹)というか、単に趣味全開というか。

なんかもう、こういう漫画が雨後の筍状態で、当時はマイナーな出版社から山程発売されてた記憶がありますね。

どこかポップで、ライトなソフトエロ路線がもてはやされてた軽佻浮薄なあの頃。

そのどれもが厳しい時代の風雪にさらされて、今やまんだらけにすら現存してないわけですけど。

大野安之だからといって、例に漏れるわけではありません。

なんだかひさしぶりに「やおい」という言葉を思い出したりしましたね。

やおい、ってわけじゃないんだけどね。

同人誌時代の作品も収録されてるみたいなんで、あんまり厳しいことをいうのもアレなんですけど、よほどのファン以外は手を出さぬほうが無難です。

ちなみに、これ、ゆめのかよいじ(1988~)の元ネタなんじゃあ・・と思えるような短編が収録されてたりもするんですけど、それだけのために手を出すのも考えもの。

Amazonのカタログにすら存在しない1冊ですが、もはや存在まるごと全部忘れてしまっていいのかもしれません。

私は評価する言葉を持たないですね。

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