2004年初出 麻宮騎亜
秋田書店チャンピオンコミックスRED 全7巻

私にとってはいまひとつ食い合わせの悪い漫画家だった麻宮騎亜の作品の中で唯一、これはちょっとおもしろいかも、と思ったのが本作。
仮面ライダー以降連綿と続く変身ヒーローものなんですが、ひきこもりのニートに超人の力を得ることの出来るスーツが届くという設定と、悪徳を行使する快感を呵責なく描くという嫌らしさがちょっと規格外であるように感じました。
この頃、ニートを主役に据えてどうこう、って漫画はまだ少なかったように思うんですね。
70年代かよ、ってな按配の背徳の色恋沙汰も、とても変身ヒーローものだとは思えぬ質感でびっくり。
なんせヒロインの母親とヒーローが関係し、色情に溺れてしまうんです。
どんな昼ドラなんだよ!って。
どこへ行こうとしてるのかこの物語は、と焦らされましたね。
後半若干失速気味ではあるんですが、ああ、実はこの作品のテーマはこういうことだったのか、と納得させられるエンディングといい、総じて悪くはありません。
従来の麻宮ファンからはそっぽを向かれそうな気がしなくもないんですが、これまでの作品と同じ轍は踏むまいとする、作者の工夫とこだわりは評価すべきではと思います。
異端の変身ヒーローものとして記憶に止めておきたい一作ですね。