2013年初出 横山旬
エンターブレインビームコミックス
<収録短編>
白い狸
雑誌「ヨミ」
新しい戦争 太古の死
1998年の風邪
やっぱり最初からモノが違う、と思った次第。
誰かの二番煎じだったり、アニメもどきだったりってなことがまるでない。
きちんと漫画の古典を踏みしだいた上で、どう自分なりの表現をするか、ということをこの人はきちんと考えてる、と思いましたね。
表題作「白い狸」は手塚先生の短編にありそうな内容で、よくできているもののそれほど濃い印象を残すわけではないんですが、それ以外の作品が近年ではなかなかお目にかからない、漫画ならではの詩情が漂っているように感じました。
注目すべきはやはり「新しい戦争 太古の死」でしょうね。
きちんとディストピアなSFでありながら、どこか往年の少女漫画のような繊細さ、情景描写の巧みさが光る秀作。
私は森脇真末味を思い出したりなんかもした。
横山旬が高く評価されないのは漫画にとって不幸だと思います。
温故知新を地で行く、とはまさにこのことではないか、と読後に確信。
広く多くの人に読んで欲しい、と思う漫画家の1人です。