1981年初版 望月三起也
少年画報社
現場に日本人形の栞を残すことからドールと呼ばれる日本人の殺し屋の、海外での活躍を描いたガン・アクション。
日本の秘密機関のスパイ、というのがその正体なんですが、自分から進んで裏稼業に手を染めているわけではなく、諜報組織のトップに弱みを握られてやむなく、という設定。
優しい鷲JJとよく似たプロットなんですが、こちらの場合、機会さえあれば自分をおとしいれた機関のトップ、青柳の寝首をかいて日本で暮らそうと企んでいる、というのがJJとの微妙な違いでしょうか。
ベッドシーンもふんだんにあって、大人の読者向けに描かれた作品のようですが、いかにも作者らしい内容とはいえ、いささか矛盾や雑な部分があるのが難点、といったところ。
主人公には嫁と子供が居るんですけどね、なぜか嫁は青柳の奥さんにおさまっちゃってるんですよね。
でもドールのことを今でも想っていて、帰ってきて、と願ってる。
ドールも嫁が青柳の細君であることを裏切りだ、と思ってる節がない。
必ず帰るからな、と独白したりする。
なぜそんないびつな三角関係になっているのか、一切説明がないんですね。
わけがわかりません。
ここ、結構重要な点で、ここがはっきりしないと感情移入できないと思うんですね。
どことなく、いつものお得意のパターンを手癖で仕上げちゃった印象もなきにしもあらず。
この杜撰さは熱心なファンしか許容できないかも。
悪くはないんですけどね。