ニッケルオデオン

2010年初出 道満晴明
小学館ikkiコミックス 全3巻

8ページほどのショート・ストーリーを39編収録した短編集。

各話に関連性はなく、それぞれが独立した内容となってますが、しいていうならニッチな趣味であったりマイノリティーに焦点を当てたお話が多いように思います。

ギャグというほど徹底して笑いには走ってないんですが、何を描いても変に湿っぽくならないのが特徴といえば特徴でしょうか。

重いテーマでも、どこか嘯く感じ、飄々とした感じが持ち味と言っていいでしょうね。

私が圧倒的にセンスがいい、と思ったのは会話劇における台詞回しで、特にボケとツッコミのトリッキーさときたらそこいらの漫画家が逆立ちしても勝てないレベル。

シュールだと思えるものもあるんですが、スタイルが洗練されてるんでとっつきにくさを感じないんですよね。

これは作者だけの武器だよなあ、と。

なかなかこういうポジションで魅力的な漫画家って、居ない気がしますね。

懸念材料があるとしたら奇抜な題材、エキセントリックな素材に拘泥しすぎなことですが、まあ、それも新たな作品に着手することでいずれは変化せざるをえなくなると思うんで、本作に限ってはこれで良し、といったところでしょうか。

新作が気になる漫画家の一人ですね。

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