2024 アメリカ
監督、脚本 ケリー・マーセル

さんざん笑わせられて、最後にはぐっと来る、エンタメの良質なサンプルのような作品
ソニーズ・スパイダーマン・ユニバースの唯一なヒットシリーズであり、三部作の最終作。
前作はあんまり評価してなかった私ですが、久しぶりに見ると(3年ぶりになるのか)「あら、思ってたより楽しい」ってなっちゃったんで、やっぱり謎のアメーバ状寄生生物と人間のバディもの、というプロット自体がよくできてる、ってことなんだろうなあ、と思ったり。
相変わらず振り回され続けてるエディが今回も可笑しくてね。
前作、前々作がどうだったか、あんまりはっきりとは覚えてないんですけど、本作はいつもにもましてエディがいいおもちゃになってる気がして。
航行中の旅客機の外側にへばりついてトム・クルーズかよ!も笑っちゃったんですが、次の瞬間には旅客機からダイブさせられるわ、シンビオートが憑依した馬にのせられて崖飛び越えるわ、河に放り込まれるわ、で「普通なら死んでるから!」ってな場面の連続がまるでバスター・キートンの過激なコメディのようで。
いやその、バスター・キートンの時代にはCGはなかったわけだけど(でも、あったら多分これぐらいはやってるはず)。
オカルトかぶれな旅するヒッピー?親子がエディと絡む展開も面白い。
絶対こいつら本筋に関係ねえし、と確信できるだけに安心して笑えるというか。
いい意味で遊び心があるんですよね。
なんだか昔ながらのホラーコメディにも似たテイストがあるというか。
でね、あれ、なんか作風変わったか?と思って調べたら、監督交代してまして。
ヴェノムシリーズの脚本家が初めてメガホン握ったらしいんですが、ああ、この人はヴェノムという物語の光らせ方がわかってるな、と思いましたね。
ドタバタ二人羽織で愉快なエディが、気づいたら命のやり取りにさらされている洒落にならん展開こそがシリーズの醍醐味であって。
それをこれまで以上に強調してるのが好感触。
初めて監督やったとは思えぬ手慣れた作劇には感心させられましたね。
また、エンディングがずるくてねえ。
シリーズ最終作なんでね、そりゃそれなりの結末が用意されてるんだろうな、と予測はしてましたが、いや、これねえ・・・さすがにね、ちょっと待て、これはいかんぞ!と私はいささか憤慨したりもした。
泣いてしまうやないかーい、と。
いや、意地でも泣かんけどね、ヴェノムで泣いたとか知れた日には私の信用にも関わってくる(どういう信用?)。
とりあえずね、あんた、そんなキャラじゃなかったろうがー!って。
・・・まさにギャップだよ、ほんと上手い。
いや、よくできてる一作だと思いますね。
大傑作というわけじゃないですけどね、スパイダーマン関係無しでヴェノムのみの物語が成立してると思いました。
それこそがこのシリーズの目指すべき到達点であったはずで。
あんまり自信はないんですが(ちょっと記憶が薄れてるので)最終作にして、最も出来の良い一作と言えるんじゃないでしょうか。
私は三部作の中で一番好きですね。
ねじレート 88/100

